洒落怖
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桜の咲く頃
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ようやくBの元へ駆け寄った俺らの頭上で、「ごめんね」という声が聞こえた。
見上げた先には、きれいなままの姿のさくらがいた。
うっすらと涙を浮かべ、さくらは消えた。
「さくら!行くな!」Aが叫んだ。Cは倒れているBの元へ駆け寄り、瀕死のBを更に殴りつけた。
「お前が!お前がぁ!なんてことを!」Cは泣きながらBを殴り続けた。俺はそれを止めることも
できなかった。
543 10/10 2010/04/02(金) 03:08:47 ID:KLj3yh2Q0
Bはその後救急車で運ばれ、何とか一命は取り留めたが、口内と内臓に重大な損傷があり、顔の骨も
折れていた(これはCが殴ったせいだったが)。そして何より、精神に異常を来たしており、傷が
癒えた後は精神病院で暮らすことになった。
CはBの怪我の責任を全て負うこととなり、傷害罪で逮捕されたが「酔った勢いでの喧嘩」扱いで
罰金刑となった。
春になり、俺とAは公園を訪れた。さくらは無事に天国へ行けただろうか。
そんなことを考えていると、Aが言った。
「さくらは、強かったな・・・」
「あの日、塚の後ろから女が出てきたとき、俺もびびって逃げちまったけど、振り返ったとき俺見たんだよ。
さくらが逃げ遅れたBをかばってる姿を。それなのにBは、そのあとさくらを・・・」
Aの言葉に言い知れぬ悲しさと空しさが滲んでいた。俺は桜の木に手を合わせて祈った。どうか、
さくらが天国で幸せに暮らせるようにと。