洒落怖
入ってはいけない辻

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ダメだな、取れないや。
と、その時、凧が半鐘から外れ空高く飛んでいっちまった。それも
すんごい勢いで。。。さすがにあれは追っても無駄だと子供の俺で
もすぐにわかるくらいの勢いだった。高かったので悔しかった。
諦めて二人で帰ろう、ということになったが急に天気が悪くなり始
め、雨が降ってきた。幸い俺の家もかっちゃん家も近い。バイバイ
してすぐに家に着いた。と、ほぼ同時に大雨。しかも雷?まで鳴って
きた。2月に雷?ありえねーとか思いながらも、まさかさっきのが
原因じゃないよな・・・とちょっと不安だった。

何やら外が騒がしくて目が覚めた。
なんだ?こんな時間に。。。時計を見たら午前零時半だ。親はすでに
起きて外で近所の人に何事か聞いてるようだった。戻ってきた父親は
血相を変えて「おい、かっちゃんがいなくなったんだと」と言った。
俺は「えっ!?」と驚いた。騒がしかったのは村の皆でかっちゃんを
探しているからだった。何でも昼間遊びに行ったきり帰ってこなかっ
たらしいが、親父さんが夜勤で帰宅が遅かったから気がつかなかった
ようだ(母親は亡くなっている)。

おまえ、何か知らないか?
「・・・」俺は怖くて黙っていた。

147 本当にあった怖い名無し sage 2010/02/25(木) 02:17:28 ID:0/ZxkvvA0
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結局その晩、かっちゃんは見つからなかった。あの時、確かに自宅の
方向へ走っていく姿を俺は見た。一体どこへ行ったのか。。。翌日、
警察と村人で捜索が始まった。俺は子供心に怖くてどうしようと悩ん
だが、このままじゃかっちゃんが本当にいなくなる気がしたので親に
言った。「バカヤロー!」俺は親父の平手で吹き飛んだ。「あそこに
は入るなといつも言ってただろう!」俺は泣きながら謝るしかなかった。

親父は早速、村の人たちにそのことを告げ相談を始めた。

しばらくして村のご意見番というか不思議なちからを持った婆さんが
きて「家の周りに小便を撒いて玄関に塩を盛るように」と言った。その
婆さんの不思議なちからは何度か見たことがあり、俺も小さい頃に疳の
虫がひどかったので、その婆さんに直してもらった記憶がある。手首に
細い紐を巻いて指先をこすられたと思ったら、爪と指の間からクネクネ
と動く正体不明の生き物?が出てきた。それが疳の虫なんだという。
婆さんはそのクネクネを引っ張って巾着袋に入れて封をした。子供なが
らに不思議な婆さんだなと思っていた。外見はナウシカに出てきた予言
の婆さんにそっくりだった。

こりゃ大変なことになっちまったね・・・死人が出なきゃいいが・・・

婆さんは村人全員に今すぐ家に帰り、今日は一歩も外へ出ないようにと
伝えた。あの辻にだけは触れちゃぁなんねぇ。昔からあそこを崩そうと
したりすると必ず死人が出たんだよ。そりゃぁすごい祟りが起こるんだ。
婆さんは俺を脅した。俺は泣きながら震えているしかなかった。
いいかい?次に祟られるのはおまえだ。今夜はずっと目を閉じているんだ。
絶対に何が起こっても目を開けちゃぁなんねぇ、いいね?婆さんはそうと
俺の髪を何本か抜き、うちの仏壇で念仏を唱え始めた。

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