洒落怖
タイムカプセル

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693 4/8 sage New! 2012/05/27(日) 02:51:35.77 ID:ufPJMSeg0
Dが自殺だったかはわからない。ただ、Dが本命の高校を落ちたのは明らかに俺たちのせいだ。
Dは俺たちのグループの中では一番弱くて、メンバーがむしゃくしゃしているときにはイジメ
まがいのこともあった。それでも仲間外れになりたくないのか、俺らの前では嫌な顔一つしたことがなかった。
あの時までは。・・・中学校を卒業する1ヶ月くらい前、A~Dと俺の5人で、
町の校外にあるつぶれたパチンコ屋に肝試しに行った。経営者が自殺したとか、ホームレスが住みついて
死んだとかいろいろ噂のある場所で、俺たちはそこに行くまでの道中でさんざんDをおどしつけたあげく、
二階に昇ったときにDを事務所のような一室に閉じ込め、ドアを近くにあった手押し車でふさいで逃げ帰った。
次の日、Dは学校には来たが、誰にもまったく口をきかなくなり、俺たちの中では比較的勉強もできたのに、
受験を目の前にして何もしなくなってしまった。あの後何があったか聞いても、うらめしそうに俺たちを
にらむだけで口を閉ざしたままだった。

694 5/8 sage New! 2012/05/27(日) 02:52:20.84 ID:ufPJMSeg0
俺たちは卒業式の後そんなDも無理矢理さそって、この神社に来て社殿の下に潜り込み、それぞれの書いた物を
ガチャガチャのカプセルに入れて砂に埋めた。
C「しかしあんなちゃちいカプセルもうなくなっちゃったんじゃないか。」
俺「それならそれでいいさ。ほら着いたぜ。」
A「ところでよ、ここまで誰も何もいわなかったから俺も黙ってたけど、お前ら何書いた?」
B「まあ・・・掘り出せばわかるだろ。」
俺たちは中学校卒業の日、この神社で未来予測を書いてタイムカプセルに入れた。つまりDも含めて5人が
5年後の成人の日にどうなってるかを予想してそれぞれが書いたのだ。
ひときわ大きな鳥居をくぐると社殿が見えた。
A「それにしても暗いな。まだ4時前だろ。」C「冷てえ、今ポツンときた。みぞれか、急ごうぜ。」
俺たちは鐘を鳴らし簡単に神社にお参りを済ませた。

695 6/8 sage New! 2012/05/27(日) 02:53:11.64 ID:ufPJMSeg0
俺「俺が入っていくよ。しかし暗いな、懐中電灯は車にあったのに。」みぞれが急に強くなって残りの3人は
神社の軒下に入ったようだ。俺はスーツの膝をつくようにして這い、さして大きくはない社殿の中央あたり
まで進んで砂を手探った。その手がすぐにツルッとしたものに触れた、ものすごく冷たい。
・・・これだ。俺はそのカプセルをつかむと外へと這い出た。夜のような暗さで、みぞれは吹雪に変わっている。
C「おい、あったのか。」俺「あったよ、ほら。」透明カプセルの中が透けて見え、中の紙は5年たったとは
思えないように古びていない。俺はカプセルを持って3人と同じように社殿の軒下に入り、
俺「どうする、車に戻って開けようか?」 B「・・・いや、今見てしまおう。」
カプセルを開けて、ノートの頁を切って折りたたんだ紙を取り出す。吹雪が音をたてて渦巻きはじめた。

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