何でも怖い
元彼女の霊

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部屋の方から、小さくて聞き取りにくい、女の声が聞こえてきました。
「……ヲ……ルノヨ」
かすかな声が聞こえました。
「テ……ビ……ヲ……キ……ルノヨ」
声がさっきより近くで聞こえました。
「テク……ビ………ヲキ……ル……ノヨ」
今度はすぐ近くで聞こえました。

「アナタモ……テクビヲ……キルノヨ」
最後に耳元で聞こえました。

そして、何かが僕の手首にふれました。ヒヤっとした感触です。金属のようでした。
その感触が、スッと横に動きました。
手首がジワッと熱くなります。ドクン、ドクンと鼓動を感じます。

そこで僕は気を失ってしまったんです。

628 : 本当にあった怖い名無し : 2012/07/05(木) 00:14:28.29 ID:/fwAWn+v0

気がつくと僕は病院にいました。ベッドで寝ていたようです。
手首には包帯が巻かれていました。周囲には点滴の器具のようなものが置いてあります。
状況が理解できない僕は、しばらくぼーっとしていました。
すると看護士さんがやってきました。
なぜ僕が病院にいるのかを尋ねると、看護士さんは「ちょっと待って」と言い、部屋を出て行きました。
しばらくすると、Bが部屋に入ってきました。とても暗い顔でした。

「すまない。こんなことになって」

なぜ謝るのか尋ねると、Bはしばらく黙ったまま、ポツリ、ポツリと話し始めました。
その内容はこうです。
Bが自分の部屋で見た女の霊は、なんとBの彼女だったというのです。
Bはその彼女と、まじめな交際をしていたといいます。
しかしあるとき、別の女性を好きになってしまった。どうしてもその女性が忘れられず、苦しかったが、別れを切り出したそうです。
当然、彼女は否定しました。激昂したそうです。なんども話し合ったしそうですが、彼女の理解は得られなかったそうです。
そこでBは、彼女を一方的にフッて、新しい彼女と一緒に引っ越してしまったというのです。

友人関係もほとんど犠牲にして、数人にしか伝えず、携帯も替え、今の町へやって来たというのです。
そして今の仕事を見つけ、しばらくは二人の幸せな日々を過ごしたといいます。
でも、あるとき異変が起きたそうです。
新しい彼女が、寝言でおかしなことを言うようになったといいます。
それが、僕があのとき聞いた言葉、「あなたも、手首を、切るのよ」でした。

その異変が数週間続いた後、新しい彼女は、バスタブで手首を切って亡くなっていたといいます。
自殺と判断されましたが、手首を切ったカミソリはBのものだったそうです。
それから、Bの部屋では、物が勝手に動いたり、無くなったりと異変が起こるようになったそうです。
そしてある夜、寝ようとしていたBの耳元で「見ているから」と女の声だけが聞こえたそうです。

629 : 本当にあった怖い名無し : 2012/07/05(木) 00:15:17.24 ID:/fwAWn+v0

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