後味の悪い話
マレーナ

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671 : マレーナ : 2012/05/25(金) 16:30:46.03 ID:faUHSDPe0
>>65で上がっていたマレーナと言う映画。
たぶん長くなっちゃうけど好きな映画なので書いてみる。

第二次世界大戦中のシチリア。
とある町にマレーナと言う美女がいた。
町の男たちからは欲望ムンムンな熱い視線を送られ、反面女たちからは嫉妬の的になるような人だった。
軍人の夫は結婚二週間後には出兵し一人暮らし。
同じ町に住む父は学校の先生なのだが、
「先生、マレーナで抜いてくるのでトイレに行ってきまーす」
「wwwwww」
と言うような扱いをされている。

そんな学校の生徒の一人、12歳の平凡な少年レナートも彼女に憧れる男の一人。
彼女の通り道に座りこみ通り過ぎる彼女をただ見つめたり、
妄想突っ走りすぎて彼女の家を覗いてみたり、
パンツを盗んでシコってたら父親に見つかって殴られたり、
そのパンツは実は近所のおばさんのものだとわかってのたうち回ったりとなかなかの青春ぶり。
純粋に、はたまた変態的に彼女を見つめていく中で、彼女が夫を心から愛していることを知る。
幼い恋心から「僕が彼女を守るんだ」と思い極める。

672 : マレーナ : 2012/05/25(金) 16:32:07.63 ID:faUHSDPe0
しかし現実には彼は12歳の子ども。
ただただ見つめる(てゆーかほぼ覗き)ことしかできない。
戦争は刻々と劇化していき、彼女の元に夫が戦死したとの知らせが届く。
町の人々の彼女に対する好奇は加速し、とある悪意ある密告のため父からは勘当されてしまう。
食い扶持を探し町を歩くが、人々は遠くから見つめるだけで関わろうとはしない。
彼女は美しすぎ、目立ちすぎ、人々に溶け込むことも受け入れてもらうことも出来ない。
そんな中彼女はトラブルに巻き込まれ、結果的に弁護士に手篭めにされてしまう。

そしてしばらくしてマレーナの父は空爆で死亡。
彼女を助ける者は誰一人としていなくなってしまった。
ある日町へ姿を表した彼女の姿に町の人たちはいつもと違う意味で注目する。
黒いロングヘアは金のボブカットに。
洗練された貞淑な衣装は扇情的なものに。
質素だったメイクは派手になり、唇は真っ赤に彩られていた。
彼女は町角に座り大胆に脚を組むとタバコを口にくわえた。
男たちは我れ先にと彼女にライターを差し出した。
彼女は男たちに体を許すことで日々の糧を得ることにしたのだ。
それから情勢に伴い、娼婦マレーナは政治家、ドイツ軍将校と、次々と権力者と関係を持ち、
娼婦生活を謳歌しているように見えた。

673 : マレーナ : 2012/05/25(金) 16:42:39.38 ID:faUHSDPe0
そして敗戦。
ドイツ軍が撤退し喜びに沸くシチリア。
そして私刑が始まる。
マレーナは女たちの手によって町の広場に引きずり出された。
殴られ蹴られ、服をむしりとられ、髪を根元まで切り刻まれる。
女たちの饗宴を男たちは呆然と遠巻きに見つめることしか出来なかった。
私刑の輪からほうほうの体で這いずり出た彼女が立ち上がり視線を上げるとそこには遠巻きに見つめる男たちがいた。
ボロボロになったマレーナは耐えかねたように意味を為さない咽び声を上げた。
しかし彼女を助けるものは誰一人としておらず、彼女は女たちに負い立てられるように走り去った。
数日後レナートは駅でマレーナ見かけた。
頭を布で覆い怯えて人目を憚るようにして別の町への汽車に乗り込み、彼女は町を去った。

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