業界、職業
葬儀にて
この怖い話は約 2 分で読めます。
葬儀屋をやってます。大手チェーンですね。やはり色々と不思議なことが
あります。今までで一番驚いたのは、旦那さんが亡くなったお通夜の晩に、
急に奥さんが倒れてそのまま亡くなったことです。しかし、これは心労が
重なったためでしょうね。別に怪異とは言えません。
火葬場で、線香の煙がある一人の参会者にあたり続ける、ということがあり
ます。その場の風の流れと思うかもしれませんが、その人が立つ位置を変え
ても煙が向きを変えてやはり当たり続けます。気がついた人は気味悪がって
位置を変え続けるのですが、その場を離れない限りどうにもなりません。
これは不思議です。
納棺後、口が開いてしまう方がいます。まあこれは死後硬直と弛緩のせいで、
めったにないことですが不思議とはいえません。最後のお別れには不都合
なので棺のふたを開けてお顔を直させていただくんですが、一度だけ、口の
中から人の親指が出てきたことがありました。そしてその方の左親指が、食
いちぎられたように無くなっていました。血は出ていなかったので死後のこと
なのでしょう。これは本当に不思議です。
高齢のお婆さんの葬儀の際、お友達と思えるお婆さんが、ぶつぶつと何かを
唱えているのを聞いてしまいました。どうやら「○○さん(故人)よ、□□
(その場にいた親戚の方らしい)を引っ張っていってくれろ。」という呪詛の
言葉のようです。あの世に引っ張っていってくれという意味だと解釈しました。
・・・一周忌でそのお宅を訪問したとき、いけないとは思いつつも、ついつい
好奇心に負けて、□□さんの安否を尋ねてしまいました。・・・□□さんは
八ヶ月前ほどにお亡くなりになったということでした。これはしかし、偶然で
しょうねえ。