この怖い話は約 3 分で読めます。
駐車場には、白地に黒で「学業成就」「長寿祈願」と書かれたのぼりが
何本も立ち並んでいます。
スーザンに、「何が書いてあるの?」と聞かれ、わたしは学業成就の意味を教えました。
日本文化なら、何にでも興味を示すスーザンははしゃぎ出し、神社の中を見たいというので、
一旦ここで車を降りて、神社の中を見て回ることにしました。
わたしも多くの神社を見たわけではないですが、外からの眺めは、
神社としては珍しい感じがしました。
境内は、お城のような高い白壁の塀に囲まれ、全く中が見えません。
塀の切れ目に鳥居が建っており、そこをくぐって中へ入りました。
中を見て驚きました。ビックリするくらいに綺麗なんです。そしてとても広い。
手入れが行き届いた植木たちに、まっ平らな砂の地面。
まるで京都の観光地のようです。
境内には涼しげに小川が流れています。小川の向こう側は、木が鬱蒼と茂る山があります。
432 留学生と神社4 sage 2007/12/29(土) 11:55:05 ID:GQE8fPqI0
境内に、ホウキを持った若い神主さんらしき人を発見しました。
「年末や受験前シーズンならまだしも、この時期に若い女性が来るなんて珍しい」
「それ以上に、海外の方が来るなんて、初めてかもしれない」
と話しかけられました。
その男性に学業成就のお守りを売ってもらいスーザンにプレゼントしました。
「ごゆっくり休んでいってください」といわれたので、
慣れない長時間の運転で疲れたわたしは、自販機で買ったジュースを片手に、
境内のベンチに座って少し休んでいくことにしました。
連休中なのに、わたし達以外に参拝客はいないようで、とても静かです。
自然と日本の伝統建築物が大好きなスーザンは、興奮気味です。
そのとき、スーザンが小川の先を指をさして「あれはなに?」と言いました。
小川の向こう側には、鳥居がありました。
神社の中にまた鳥居があるなんて不思議だな、と思いながら、その先を良く見ると、
山の中へ入っていく石段のようなものが見えました。
スーザンが興味深々なので、間近で見ようと、一緒に鳥居へ近づいていくと、
その鳥居が女性の腰くらいの高さの小さなものであることがわかりました。
433 留学生と神社5 sage 2007/12/29(土) 11:55:35 ID:GQE8fPqI0
スーザンは、その小さな鳥居をくぐりたいと言い出しました。
しかし、小川沿いに境内を端まで歩いて探しても、向こう岸に渡ることが
できそうな橋が全く見当たらないんです。
小川は幅は3メートルほどで、くるぶしあたりまでの深さしかなかったので、
暑いくらいの天気なので、靴と靴下を脱いで、裾をあげて、裸足で小川に入って、
向こう岸にわたることにしました。
向こう岸に渡り、靴を履きなおすと、スーザンは四つんばいになって、
その小さな鳥居ををくぐりました。わたしもジーンズを汚しながら、
四つんばいになって鳥居をくぐり、スーザンと顔をあわせて笑いました。