夢・不思議
留学生と神社

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老婆にそう言われ、石段の上へ目をやると、お堂がある場所(わたし達が居る場所)から
さらに長い距離、真っ直ぐ石段が続いており、突き当りには、大きな社があります。
社の前に、人影が見えますが、木が鬱蒼としてて薄暗くて良く見えません。

436 留学生と神社8 sage 2007/12/29(土) 11:57:49 ID:GQE8fPqI0
その時、スーザンが老婆達の前で、初めて言葉を発しました。
お堂の中を指差し、そこに祀られている、大豆のようなゴツゴツとした
石のような物体を指をさしながら、「これはなんですか?」と訊いたのです。

すると、老婆達が、「ギエー!」という大きな悲鳴を上げました。
「日本人じゃない!」
「バツをほうず!」

「今すぐ降りろ!」
「降りろ!降りろ!」
とまくし立て始めました。

スーザンは目が青いものの、黒髪で体格も小さいので、老婆達は。
スーザンがアメリカ人であることに、彼女が片言の日本語を発するまで
気づかなかったのでしょう。

上の大きな社へ目をやると、老婆達の悲鳴を聞いたからか、
先ほど見えた人影がこちらへ向かって降りてくるのが見えました。
動きは急いでいるようですが、足がわるいのかソロリ、ソロリと降りてきます。

わたしは怖くなり、スーザンの手を引いて、足早に石段を駆け下りました。
その時のスーザンの手は、酷く汗ばんでいて、冷たかった。

437 留学生と神社9 sage 2007/12/29(土) 11:58:39 ID:GQE8fPqI0
一度も振り返らず、山に入る時に四つんばいになってくぐった、
小さな鳥居のところまで降りてきました。

二人とも、急いで靴を脱ぎ、小川を渡リはじめた時、異変に気づきました。
先ほどは、くるぶし程までしかなかった小川の深さが、膝に達するくらいまで
深くなっていたのです。

なんとか反対岸まで渡り終え、後ろを振り返ると、スーザンは小川の真ん中で
立ったまま動かなくなっています。
「スーザン?大丈夫?」と問いかけると、決してわたしの前で英語を喋らないスーザンが、
英語で絶叫し始めました。英語が苦手なわたしは、全くなにを言っているのか聞き取れません。
絶叫が途切れ、口をパクパクさせた後、スーザンはそのまま川の中に倒れこみました。

その時、わたしは後ろに気配を感じました。
後ろには、お守りを売ってくれた、若い神主さんらしき男性が立っていました。

彼は、服が濡れるのもいとわず、川に入り、スーザンを支えるようにして、
こちらの岸まで連れてきてくれました。

スーザンは、体に力が全く入らないような状態になっており、
呼吸も荒くなっていました。
神主さんらしき男性と二人でスーザンを抱えるようにして車まで運びました。

男性は、わたし達の車が駐車場にあるのに、わたし達の姿が見えないことを
心配して、あたりを探していたそうです。

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