洒落怖
豊丸

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719 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/27(金) 22:36:11.62 ID:Saq3qPJc0
太郎と孔子はいったん、一番近い俺のうちに集まった。さっきなにを見たんだ?と聞いてきたのは孔子だ。おれはできる限りうまく説明しようとしたが、見ていないヤツにアレを伝えるのには手を焼いた。ともかく、そうとうやばいモノだということだけは、分かってもらえた。

気がつくと、太郎の様子がおかしい。ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ、身体がブルブル震えている。頭に手をやるとすごい熱だ。
おれは布団を敷いて太郎を休ませた。孔子はしばらく太郎の様子を見ていたが、明け方に帰っていった。帰り際に、「俺たちもう手遅れかもしれない」と言い残して。
翌朝になっても太郎の熱はひいていなかったので、朝イチで病院に連れて行った。病院では風邪だと診断され、解熱剤等をもらった。
太郎はずっとニヤニヤしたままだった。昨夜あの時から一言も口を聞いていない。おれは太郎を家まで送り、孔子にiPhoneで電話をかけた。
孔子はうちに帰っていなかった。逆にどこにいるのか孔子の母親から問い詰められた。
俺は昨夜あった事を話すと、孔子の母親は明らかにうろたえ出した。すぐに太郎を連れてうちに来なさい!と怒鳴られた。仕方なく俺は太郎の親に無理を言って太郎を連れ出し、孔子の家へと向かった。
孔子の家へ着くと、すぐに仏間に通された。孔子の母親は今から人が来るから、ここでじっとしてなさいと厳しい口調で俺たちに告げた。

しばらくすると、行者のような格好をしたおばさんが仏間に入ってきた。おばさんは俺たちを見るなり、露骨にがっかりした表情を浮かべ、「もう遅いわ」と言った。そして電話(iPhone)を取り出し、なにやら丁寧な口調で誰かをここに呼んでいるようだった。

「今から隣の県から私の師匠が来る。それまであんたたちをできる限り守るから、あんたたちも必死で私のいう事を聞きなさい」
そういうとおばさんは着物の前を少しはだけ、首にかかった数珠のようなものを握りしめ、一心にお経のようなものを唱えはじめた。
はだけた着物から、もう少しで乳首が見えそうだったので、おばさんが目をつぶっていることをいいことに、俺は顔を近づけ覗き込んだが、乳首はギリギリのところで見えなかった。

729 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/28(土) 00:00:28.16 ID:gGkrZnZT0
おばさんは、ひとしきりお経を唱えた後、「これから絶対に声を出してはいけない」とだけ言い残し、俺たちを木簡で頭と言わず体と言わず、めっためたに叩き始めた。

薄い木板なので、あまり痛くはないのだが、見ず知らずの人に叩かれまくって、腹の中は煮えくりかえっていた。乳首が見えなかったことも怒りの一因だったのかも知れない。
二時間くらい経っただろうか、突如おっさんが
あらわれた。おっさんもまた、行者のような格好をしていた。おっさんは俺たちを見て、顔を顰め、座った。
相変わらず俺たちを叩いていたおばさんに「もういい」と言うと、今回の件について話し始めた。
どうやら俺が見たのは、豊丸(ほうがん)という、鬼神の類で、この地方に時々あらわれるのだそうだ。
もともと農作物の豊穣を司る神様だったらしいが、零落するうちに人々から忘れられ、しばしの時を経て鬼神となってあらわれたのだという。
この豊丸に魅入られた人間は無惨な死を遂げるという。確実な祓い方はまだ分かっていないのだそうだ。
「一か八かだが、」とおっさんは前置きして、これから俺たちに行うお祓いについて話し始めた。
お祓いと言っても、おっさんが正式な祓い方の分かっていない豊丸な対抗するために独自に考え出したものらしかった。

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  • 匿名 より:

    乳首うるせーよ

  • 豊丸