洒落怖
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やつら10人以上いる…
増えたというから2人になったとかそういう事じゃないかと予想していたんだが、
これは予想外だ、怖すぎる。
話しかけてくるのは1人だったのに、まさかこんな事になっているとは。
動揺を必死で隠しながら目的地の洋食屋に到着し、俺はカレーライスを
注文した。が、ぶっちゃけ恐怖と不安と、連中に「気付いている」事を
悟られないようにするのに必死で、どんな味だったのか全く覚えていない…
A君も同じようなもののようで、とても傍目にも美味い物を食っているようには
見えなかった。
そもそも連中は全員で俺たちのテーブルを囲んで時々思い出したかのように「気付いて
るんだろ?」とか話しかけてくるので、味わって食べる余裕などあるわけもない
のだが…

863 7 sage 2012/04/29(日) 20:48:20.05 ID:xwR1mIdl0

その後も2人で服を見に行ったりゲーセンへよったり、思いつく限りの「休日の暇つぶし」
をして気付いていないふりをし続けたのだが、その甲斐あってか夕方頃になってやっと
つけ回して来るやつらの人数が減りだし、お互い家路に付く頃にはついて来ているのは
2人だけになっていた。
が、この2人だけがなかなか離れてくれない。
仕方が無くメールで「今日はひとまず帰ろう、だいぶ離れたんだそのうちこいつらも
いなくなるはずだ、がんばれ」とメールを送るととりあえず今日は解散して帰ることにした。

俺とA君が別々に歩き出すと、案の定ついてきていた2人は1人ずつ俺たちについてきた。
そして自宅のアパートまで帰ってくると、予想通りやつは部屋の中まで入ってきて
相変わらず「気付いているよね?」などと話しかけてくる。
いい加減しつこくて恐怖心よりもウザくなってきたのだが、反応したら何が起きるのかが
恐ろしくて無視していた。

そのうちやつらのほうもイラついてきたのかもしれない。
寝る頃になると「気付いているんだろ?早く答えろ!」とだんだんと語気が荒くなってきて、
しゃべる頻度も上がってきた。
が、布団に入り電気を消す頃になると、流石に諦めたのか「なんだ、気付いてないのか…」
というと部屋から消えてしまった。
ホッとしてそのまま寝ようとしたとき、A君から電話が来た。

864 8 sage 2012/04/29(日) 20:49:04.48 ID:xwR1mIdl0

電話に出るとどうやらA君のところのやつもいなくなったらしく、かなりうれしそうに「○○さん、
やっとあいつらいなくなりましたよ!そっちどうですか?!」となんか涙声で聞いてくる。
どうやら不安感から開放されて電話越しに泣いているらしい。
ただ、俺はどうもあれだけしつこかったのに最後があっさり過ぎたのが腑に落ちず、「A君
ちょっと落ち着け、“まだどうなってるか解らない”から様子を見よう」というと、A君は
「もうだいじょうぶですよ!それよりあいつ最後に変なこと言っていたんです、なんか
『気付いていたら・・・・(聞き取れず)たのに…』って」と言った瞬間、電話越しに「あ…」とA君の
声が聞こえて電話が切れてしまった。

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