洒落怖
まるで双子のよう

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まぁ、そんなトコに残された自分も運が徹底的に悪かったのだろうなんてのも思いますが、
じゃんけんに負けちゃって、先輩達がジュースを買いに行くとコンビニに行ってる間、
一人ぼっちで境内で荷物番をしていました。

携帯を弄りながら待っていると、耳元で「ふぅー・・・ふぅー・・・」という息の音がする。
誰か戻ってきたのかな、なんて一瞬思うけど、この境内に入るには石の柵を乗り越えるか、
入り口をくぐるしかない、入り口は自分の目の前で誰も居ない、石の柵は思っているより高くて、
幾らなんでも無理なのは判ってる、じゃあ、これはなんだ。

そう気付いた時、背筋が凍った、妙に冷たい、異質な気配がして一人でガクブル。
正直逃げたいていうか逃げたいマジで!と思うけど荷物が・・・・!!!とかいう中、Mに助けてメールを飛ばすと、
「待ってろ、すぐ帰る」という返事に少し安心するも、耳元の息遣いはいつの間にか声に。
ていうか、何か増えてるって、これ。

「ふぅー・・・うぅ・・・うぅぅ・・・あぁー・・・あぁあぁ・・・ふぅー・・・」(男)
「うっうっうっ・・・・うぅ・・・あぁー・・・うっうっうっ」(女)

正に硬直、後ろなんて振り向いてたまるか、そう思ってガクブルする事数分、
鬼の形相で境内に駆け込んで自分に近付いてくるM、お前が今一番こえー!!!!
そう思った瞬間、自分の肩をガッシリ掴み、肩の後ろ辺りをぶちキレた顔で睨みつけ、
何事ですか、そう思う自分が振り向こうとした瞬間怒鳴られた。
「振り向くな!」そのままガクブルし続けて何分かすると、声と気配が消える。
怒った様な顔で隣に座ったMに何が居たのか話を聞こうとするが、答えてくれなかった。

兎に角、これは始まりに過ぎなかった。

その後、先輩達が戻ってきて、少々はしゃぎながら、肝試しをしようかなんて話になる。
肝試しと言っても、本殿の周りを一周してその間に誰かが一度脅かすという、他愛も無いもので、
適当に二人ずつ回り始める、途中ワァとかキャアとかいう声が聞こえる中、Mはまだ怒った様な顔をしてた。

帰りたい気持ちも山々だが、これが終われば解散という話で、仕方なしに乗る、
Mと二人で本殿の周りを回る、が、誰も脅かして来ない、忘れたのかな、なんて思いながら、
もう回り終わるそう思った時、自分の右側の本殿の中を隠している障子に穴が開いてる事に気付いた。
「穴開いてるよ、この障子直せよなぁw」なんてMに言いながら指を指したら、Mがやっと笑って、
二人して中をちょっと覗き込んだ時、二人して固まった。

「この時間、誰か中に居るもん?」
「いや、居ないだろなぁ、こんな仕込みできないだろしなぁ」
「じゃ、アレ何だべ、ていうか、顔が・・・・」
「髑髏だねぇ」
「だねぇ、てか全身真っ白だねぇ」

人間余りに驚きすぎると普通になる様だ。
本殿の中、丁度仏像の前辺りだろう、ちょっと俯いた、白いワンピース、白い腕、白い足、白い長い髪、白い・・・髑髏の顔。
こんな女の人が立っていた。

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