洒落怖
踏切

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次に目覚めた時には、玄関に男の欠片はありませんでした。
ただ、ツンとした臭いが周囲に漂っていました。
僕は財布と携帯だけをもって家を飛び出し、近所の友人のうちに転がり込みました。
ただ、事情を説明すると家にいるのを嫌がられてしまうかもしれないので
今日はバイトも止めて暇なので遊び相手を探していたと言うことにしました。
そうして、一晩その友人宅に泊めてもらおうと考えていましたが、
夕方になってくると、あのツンとした臭いが部屋に立ち込めてきました。
とりあえず人気の多い所へと思い、友人に24時間営業のファミレスへ行こうと提案しました。
そして、ファミレスに行くことになったのですが、どうせならと言うことで
他にも友達を数名呼ぶことになりました。
人間と言うのは不思議なもので、たくさんの人に囲まれると安心してしまうのか
三十分もすると、とてもリアルで生々しかった今朝の体験を
「実は自分が作り出した幻覚なのではないか」と疑い始めました。
そして、三時間もするとすっかり今朝のことは忘れて
友人たちと馬鹿話に花を咲かせ楽しく笑っていました。

しかし、僕たちの席に来るウエイトレスの様子がおかしい事に僕は気付きました。
よく注文を間違えていたし、皿を下げるときもやたらとせかせかと急いでおり
そのせいで皿を一枚落としてしまいました。
それを「落ち着きがない子だな」程度に思っていましたが
僕の皿を下げるとき、目が合うと「ひっ!」と小さく声をあげたのです。
僕はとても嫌な感じがしましたが。どうすることも出来ません。

結局深夜一時には解散することとなり、みんなそれぞれ帰り支度を始めました。
そこで僕も渋々自転車の鍵を開けていると、友人が近付いてきて一言
「オマエ今日何した?」
と尋ねてきました。僕はまだ誰にも今朝の話をできないでいました。
その質問に不安になりその友人に何故そんなことを聞くのかと逆に問いただすと
僕の足元に何かが纏わりついているのが視えていて、ただ、彼にはそれがなんであるのかはわからず、
ただ凄く厭な感じがするらしく、どうしても気になるので聞いてみたそうです。
まったく霊感があるとかそういう類の話に興味のない人だったので少々驚きながらも
だからこそ、信用できる。と思いとりあえず事情を説明することにしました。
話を聞き終わった彼は「とりあえずうちに来い」と言いました。

他になす術のない僕は彼の言葉に従いついていくことにしました。
そして、彼のうちに向かう道中に聞いた話によると、彼の家は一家揃って霊感が強く
特に妹は特別で、その道にスカウトされたこともあるらしいのです。
まだ実害もなく、そんなに深刻に思っていなかった僕はそんな大層な人に見てもらわなくても…
と思いましたが折角なので祓ってもらえるのなら祓ってもらおうと思い
彼の家でその妹さんと会ってみる事にしました。しかし、家に着くと彼の父親が玄関に立っており、
「スマンが帰ってくれ」と言うのです。僕は訳がわからず、友人に助けを求めてみましたが
その友人も困惑していました。「せめて事情を聞くだけでも」とかけあってもくれましたが
「ダメだ、帰ってくれ」と冷たく言い放たれ、仕方なくぼくは帰路に着きました。

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  • 匿名 より:

    馬鹿としか言いようがない

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