洒落怖

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建物の裏側は、ただひたすら平らな平野が広がっているだけだった。
そしてその平野に、木で組まれた簡素な台が一列に、等間隔にずっと並べられ
その台の上に蝋燭が2~3個、煌々と火をつけて輝いている。
それが本当に誇張ではなく、地平線の向こうに霞むまで続いているのだ。

「何なんだここ!」
「やべえよおい!!」
俺とKの声で我に返ったのか、Sがこっちに気づいて寄ってきた。
そして俺とKが全く気づかなかったことを指摘してきたのだ。

「なあ、ここ、太陽ってどこに出てるんだ?」

221 : 9/9[sage] : 投稿日:2013/03/07 23:12:29 ID:bthiYXPN0
太陽・・・そういえば空は青く澄み渡っていて雲ひとつない・・・のに
太陽がどこにも見当たらない。空は明るいのに、空全体が一様に同じ明るさなのだ。

「なあ、俺は最初から変だと思ってたんだ・・・静かすぎるだろ?ここについてから一度でも
鳥とか生き物の声を聞いたか?もっと言えば!ここへ来る途中の道にも草1本も生えてなかっただろ!」

Sはもう半泣きになっている。
とにかくここにいてはまずいと、俺とKはSをなだめながら車へと急いだ。
途中、建物の入口がチラッと目に入り、戸が閉まっているようにも見えた。
さっきオレとKは戸を開け放ったまま出てきたはずなのだが、しかしその辺ははっきりとは覚えていない。
とにかくここを去らなければ。
Kの運転で元来た道を戻り、俺達はなんとか最初の廃道の入り口までたどり着くことができた。
国道に出ると、太陽が西に沈みかけていた。戻ってこれたんだと実感できた。

その後、俺にもKにもSにも霊障とか呪い的な現象は一切起きていない。
しかし、あの日体験したことは紛れもなく事実であり3人とも覚えている。
そして、後日、例の廃道の入り口の横を通りかかったとき、以前は入れた細い道自体が
頑丈な門で封鎖されていて完全に通れないようになっていた。
もちろん、通れたとしてももう二度とあの道に入る気はない。

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