洒落怖
潜水艦の呪い

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「明日、またU65で出発する。俺に万が一のことがあったら、これを妻に渡してくれ。」
そう言って入院している仲間に何かの包みを手渡した。
「・・分かった。」
あの艦に乗る以上、いつ死んでもおかしくない。そのことはお互いに十分分かっていた。

そして二ヶ月後の1918年7月31日、ドイツ海軍本部はU65が消息を絶ったと発表した。
入院していた仲間も、病院でこのニュースを聞いた。予感はしていたが、ついにそれが現実のものとなってしまった。

U65に関しては最初は何の手がかりもなかったが、
後日、敵国であるアメリカの潜水艦の艦長が海上で爆発するU65を目撃したという報告が入った。
その時、アメリカ潜水艦 L2号はアイルランド西岸をパトロール中に
偶然海上に浮かぶドイツ軍の潜水艦を発見したという。

潜望鏡で覗いて見てみると、U65という番号が確認出来た。当時アメリカとドイツは敵国同士である。
すぐに攻撃体制に入った。後は艦長の魚雷発射の命令を待つだけ、という状態になった瞬間、
海上のU65は突然大爆発を起こしてしまった。
攻撃前に標的が自然爆発を起こし、アメリカ側の艦長も訳が分からなかったという。

入院中の仲間もニュースや報告を聞いていたが、その中に一つ、非常に気になる部分があった。
アメリカ側の艦長が最初に潜望鏡でU65を観察した時、甲板に1人の男が立っているのが見えたと言っている。
その立っていた男とはシュワルツではなかったのか。ついに全員を潜水艦ごと道づれにしたのではないのか。
入院中の仲間はそう考えざるを得なかった。

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