洒落怖
ゆうこちゃん

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夜中1時を過ぎた頃、姉は急に睡魔に襲われ、うとうとし始めたらしい。
その直後、エリカが入ってくる気配がして目が覚めたが、そのまま寝たふりをしていた。
エリカは姉のベッドの横に立ち、
「ママ、痛いのはちょっとの間だけだから大丈夫だからね」
姉は薄目を開けてエリカの方を見た。

650 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/06/08(土) 16:44:45.12 ID:D/6GEgMp0!
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エリカはとても嬉しそうに微笑みながら、頭上に振り上げた包丁を姉の胸の辺りに突き刺そうとしていたそうだ。

姉は思い切りエリカを突き飛ばし、包丁を奪い取って大声で私の名前を呼んだ。
私が行くとエリカは床に倒れて泣き叫んでいて、姉は包丁を手にしたまま震えていた。

私は泣きじゃくるエリカを抱きしめながら、
「ママに何をしようとしたの!?これがプランだったの?ゆうこちゃんがやるように言ったの?」
と聞いた時、部屋の隅にエリカと同じ年格好の少女らしきものが見えた。

「あれがゆうこちゃんなの?」
エリカは頷いた。
ゆうこちゃんの顔は深いシワとシミで老婆のようだった。

652 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/06/08(土) 17:08:18.25 ID:D/6GEgMp0!
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私はその少女に向かって叫んだ。
「あなたはどうしてここにいるの? ここにいてはダメ! 早く向こうの世界に行きなさい!」

「ここにいたら悪魔になっちゃうんだよ! パパもママもここにはいないでしょ? ここにいてもしょうがないんだよ。」

体の震えが止まらなかった。
ゆうこちゃんの顔が歪んで恐ろしい形相に変わる。

その時、エリカが叫んだ。
「悪魔にならないで! ゆうこちゃん…優しい天使になってよ。」

怖くて逃げ出したかった。
一体どうすれば良いのかもわからない。
本当に神様がいるのなら助けて!と思った。

「ゆうこちゃん、お願いだからもうやめて。プランはやめにしようよ。」
エリカが泣きながら訴えた。

突然、ゆうこちゃんの顔が普通の女の子に変わった。
そして、一瞬微笑んだと思ったら消えてしまった。

653 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/06/08(土) 17:13:39.82 ID:D/6GEgMp0!
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後日談
エリカはゆうこちゃんの事も、自分がやろうとした事も覚えていなかった。
義兄が任期を終え日本に戻るまでの3年間私達はその家で暮らし、エリカのうつ病もすっかり良くなって、学校へも行けるようになった。

そしてゆうこちゃんは二度と現れなかった。

私は今でもその家に住んでいる。

終わり

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