洒落怖
真夜中のガレージ

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そこで俺は その日の夜中に、ガレージに一番近い1階のトイレで電灯を消し 一人で泥棒が来るのを待った。
暗い中で 暇つぶしに見ていた携帯のデジタル時計が1時をまわった頃だった
トイレの窓からガレージのライトがついたのが分かった
俺はあらかじめ外に出しておいた箒があるのを確かめて 玄関からそっとガレージを覗き込んだ。

二台 車の入るガレージには一台の車しか入れてなかったわけだから ガレージには少し開けた空間があった。
明るくひかるライトが 床のコンクリを照らし周りの闇から 浮き上がらせていた。
その光の中央にはこちらに背を向けた一人の男が立っていた
一言 怒鳴って驚かせてでもやろうかと思ったがどうにも様子がおかしいことに気がついた
男は車を物色するでも 光を恐るでもなくただ立っているだけだったのだ。
男の纏う異様な雰囲気を振り払うように俺は鋭く
「何してる」
と言った 言ってみると鋭いというには程遠かったが
男はその声に反応しゆっくりとこちらに振り向いた
男の目がこちらから見えた瞬間、鳥肌が全身にたった 無感情な目だったのだ
それこそ死んだ魚のような目というのが当てはまるような
しばらく俺はその目を見据えると 男は不意によろよろと後ずさり闇に溶けてどこに行ったか分からなくなった。
俺は不気味に思いながらも 後を追うことはせず その日は眠りについた

775 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/05/25(日) 20:43:46.09 ID:xb7J7ZSo0.net
俺は次の日も念の為に、と ガレージを 見張ることにした
果たして デジタル時計が1時をまわると ガレージの灯は光を灯した
また あの男か… そう思いながら玄関からガレージを覗き込むと 女性の後ろ姿が見えた あの男ではなかった安堵が心を覆い
俺は
「何してるんですか」
と 警戒せずに言ってしまった 声が聞こえると彼女はゆっくりと振り返った。
俺はハッと息を飲んだ その女性も あの目をしているのだ 死んだ魚のような、 光を灯さないあの目を。
今度は女が立ち去るのを見ることなく急いで玄関に入り鍵を閉めた。

何かおかしい えも知れぬ恐怖を感じた俺は 次の日からは トイレの中からガレージの灯を認める事しか出来なくなってしまった。

少しずつ日中の仕事にも手がつかなくなり 自分でも 限界を感じはじめたある日
俺は持てる勇気を振り絞り トイレ特有のすりガラスを開け 鉄格子の嵌った窓からガレージを覗けるだけ覗いた
鉄格子に顔を擦り付け ガレージをじっと見つめる。後もう少しであいつらの立っていた所が見える。 そう思って さらに身を乗り出そうとした時だった

唐突に目の前に あの濁った目が現れた。
ガレージに気を取られすぎていた自分を呪った。 トイレに俺がいることに気づいたあいつは ガレージからこのトイレまではい登って来たに違いない 。
死角になっていて気づかなかったんだ。
狭いトイレの中であいつと顔を合わせ あたかも自分に逃げ場が無いように思え、パニックになる。
声にならない悲鳴を上げながら 俺はトイレの窓を乱暴に閉めた。
すりガラスにうつる影が 薄くなったのを見て ホッと息をついた。

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