子どものころの怖い話
三角関係

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冷静に考えると、誰ともデートするような男であるB男に、A子はよくそんなことを
してあげるものだ。
しかし恋は盲目で、A子には「このことを切っ掛けにもう一歩踏み出せるかも」
という下心もあったらしい。

そういったことを続けるうち、分かりやすい話、C子の恋心はA子への嫉妬心へと
とってかわることとなった。
C子のひねくれたB男への純愛パワーは、常人には考え付かないナナメ上の方向から、
しかし真っ直ぐにA子へ向かっていったのだ。

マイミク限定の日記には、A子への恨み節の連続。
「ある女のせいで私は今日も手首を切った」だの、「あの女に私の運命の人が
たぶらかされている」だの。
ある日は、「あの女死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…(略)」で
画面がいっぱいになっていた。
しかも、A子からの足跡がついたら速攻日記を消す。
A子に見せ付けたいがため書いているのがバレバレだ。
当然のように、A子の携帯には「おまえさえ いなければ…」というような
狂気を帯びたメールが着信しだし、同じような内容でmixiのメッセージが
届いたりもし始めた。

A子はボーダーというものにあまり関わったことがなかったのでかなり
ぞっとしたらしい。
そのうち、A子は日記でB男との前世からの仲(笑)などをアピり始める。
「前世で結ばれていた私たち二人がある女のせいで(ry」
このあたりで自分もまた改めて相談を持ちかけられ、実際にA子の家のPCで
問題の日記やmixiのメッセージを見た。
典型的な厨ニ病併発型だと思った。たちが悪い…
でも自分ができるアドバイスなんて高が知れている。
ヘタに拒否して相手を刺激するより、ムシして迷惑メールフォルダ行き
にしてしまうことを薦めたりした。

B男の携帯へも着信やメールが増えまくり、恐ろしくなって着信拒否。
結果B男の会社にも電話がかかってくるようになった。
会社に女性の個人名で個人宛ての電話なんてかかってくるものだから、
同僚の視線はさぞかし痛いだろう。B男は半ばノイローゼになった。

ある日、A子が一人暮らしのアパートに帰宅し、施錠してドアを背にした瞬間、
全身がゾクゾクとするのを感じた。
肩が重くなり、目の前が真っ暗になった。
夏だと言うのに悪寒が走り、体が異様に震える。
腰が抜けたようになり、ドアを背にずるずると床にへたりこむ。

そのとき、彼女はドアの向こうに、C子がいるのを感じた。
……C子の、……生霊…!

「帰って!」それを何度も頭で繰り返した。
体の震えるのをとめようと、両腕で自分の体を抱きしめるようにして。
「私には何も出来ない!」
彼女は何度か霊を見たりしていたが、「私には何もできないから帰って」と
いうと去ってくれるものが多かったらしい。
しかし「これ」はC子である。
しかも生霊だ。
確信があった。
C子なら、そううまくいくわけはないだろう…そう思っていた矢先、想像以上に
あっけなく気配が消えた。
いつの間にか手のひらは汗でじっとりとしていた。

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