子どものころの怖い話
いんび

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しばらくして意識を取り戻すと、地面がガタガタと揺れていましたが、すぐに私は車の中だと気付きました。
私たちは一体どうしたんだろう?と考えますが、どうにも朦朧として考えが回りませんでしたが、誰かの話し声はうっすらと聞き取れました。
「わーがえなもん(お前みたいな奴)死んだが良かったんじゃ」と声を荒げるのは私のおじいちゃん。
「やくたいもねこと(しょうもない事)いつまでも」と切り捨てるような声はヒサたちのおばあちゃん。
「しちねんぶりのいんび(いみび?)だけん諦め!」と怒鳴るのはヒサたちのおじいちゃん
私たちはこれから何をされるのだろう?怖くて怖くてたまりませんでした。

573 :本当にあった怖い名無し :2007/03/20(火) 10:11:14 ID:80A7PwcD0
それからどれくらい走ったのか、おじいちゃんたちは車を止めました。
私たち三人を車から降ろしてどこかに連れて行こうとしていましたが、私は怖くて狸寝入りをしていました。
途中までずっと怒鳴っていたおじいちゃんは、私を抱えながら「わりしこだった、わりしこだった(すまなかった)」と泣いていました。
暗い納屋のような場所に私たちを寝かせると、ヒサたちのおじいちゃんはお経のようなものを読み始めました
私は「きっと殺されるんだ」と思い恐怖で体が震え、体中から冷や汗がどっと噴出しました。
心の中で何度も何度も「おじいちゃん助けて!」と叫びましたが、おじいちゃんは顔を伏せたまま気付いてくれません。
お経のようなものが終わり、ヒサたちのおじいちゃんは懐から錆びた小刀のようなものを取り出して私に向けました。

「もう駄目だ!」そう思ったとき私のおじいちゃんがヒサたちのおじいちゃんに飛びかかりました。
「おじいちゃん!」私は力の入らない体をそれでも必死に起こしました。
「逃げえ!ヒサもトモももうあかん!お前だけでも逃げえ!」と取っ組み合いになりながらもおじいちゃんは叫びました。
私は必死に立ち上がり、出口の方に駆け出しました。
後ろからヒサたちのおばあちゃんが「あかん!お前は逃げたらあかんのんじゃ!」と叫びながら追って来るのがわかりましたが、それでも必死に走り続けました。
おじいちゃんの事もヒサたちの事も心配でしたが、必死に必死にその建物から飛び出し、海沿いの道を走り続けました。

574 :本当にあった怖い名無し :2007/03/20(火) 10:13:33 ID:80A7PwcD0
どれくらい走り続けたのかはもう覚えていません。
裸足たった私の足は皮が破れて血まみれになっていました。
痛みに耐えかねてよたよたとよろめきながら歩く姿に「何かあったのだ」と感じたのでしょう。
通りかかったパトカーが止まり、降りてきた警察官が声をかけてきました。
「助かった!」私はさっきの出来事を上手く説明出来ないながらも、必死に事情を説明しました。
自分でもうそ臭い作り話に聞こえるような話し方になってしまいましたが、なんとか事情を理解してもらう事が出来ました。
私はパトカーに乗せられ、元来た道を警察官と一緒に戻っていきました
しかし私たちが戻るとみんなの姿は無く、しんと静まり返っていました。
警察官と二人で二階も探してみましたが、何処にもいなくなっていました。

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