子どものころの怖い話
怒号

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ターちゃんはさっきは逃げたくせに
「すんませんでした!ありがとうございました!」とやたら覇気のある声でお礼をいい、
俺の腕をつかんでオッサンの言った方へ歩きだした。

『えっ?こっちはさっき来た方だよ?』
と俺は反論するが、ターちゃんは黙って俺を引っ張っていく。歩きだがやたら早足だ。

と、オッサンが視界から見えなくなった瞬間、ターちゃんは直角に曲がって猛然とダッシュした。
ターちゃんは倒木を飛び越え、小枝でケガするのも厭わずがむしゃらに走っていく。
帰るうんぬんではなく、ただひたすらあの場から離れたいという感じだった。
サンダルの俺はターちゃんについていくのがやっとだった。

大きな倒木を飛び越えた先でターちゃんは倒木を背にへばりついた。
俺も少し遅れてへばりついた。

164 お邪魔します sage 2008/08/12(火) 02:44:06 ID:dGA/L48T0
「あれやばい。やばい。おかしい。見える。見てみろ」
とターちゃんが倒木越しに今来た道を指差した。
密集した細い枝と倒木の隙間から見てみると、オッサンが、
俺達が行ったであろう道を走っていくのが見えた。

「やばい。やばい。やばい何か知らんけどもぉぉ!!」
ターちゃんは嘆きつつもしばらく様子を見てからオッサンと反対の方向に走り出した。
もう何どころではなかった。俺もベソかきながら、後ろに注意しながらターちゃんについていった。

オッサンの反対側へめちゃめちゃに走っていると、ようやく車の轍があるところまでたどりついた。
「よかった」と泣きそうな俺を、
「馬鹿タレ!あのオッサンいつどっちから来るか分らんぞ!」
とターちゃんが一喝。俺は泣いた。

165 お邪魔します sage 2008/08/12(火) 02:45:40 ID:dGA/L48T0
轍をこっちかな?と思う方に二人して走っていると、正面から軽トラが来るのがかすかに見えた。
『まさか例のオッサンか?』と思い道路わきの茂みに隠れて軽トラを待つ。
軽トラは全然別のおっちゃんが運転していた。
安堵から、ついに俺だけでなくターちゃんまで泣き出してしまった。
おっちゃんは突如現れた号泣小学生2人に狼狽した様子だったが、
迷子とだけはわかったのか「外まで送ってくが」と快く俺たちを荷台に乗せてくれた。

さすがに車は早く、楽ちんで松林を抜けることができた。
オッサンの恐怖も忘れ、軽トラの荷台で受ける風をたのしみながらはしゃぐ俺ら。
調子に乗って暴れていた。

「なんしょんやわらああああああ!!」

軽トラの運転席から怒号が聞こえてきた。俺は泣いた。

166 本当にあった怖い名無し sage 2008/08/12(火) 02:52:02 ID:aehLt/FQO
え、これで終わり?
なんだっけ、ノッペラボウに脅かされる。鼬だっけ?アレみたいだね。
面白かったよ。

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