生物・妖怪

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俺はこの異様な物体を目の当たりにして、瞬間的に怖いというよりなぜかグロ画像を
みたときのような悪寒と嫌悪感を感じた。
外見上異様ではあるが、そこまで「気持ち悪い」形状の物体ではないはずだが…
横を見るとT幸も同じらしく、無言で硬直し“それ”を凝視していた。

俺はT幸に「おい、とりあえず戻った方が良くないか、なんかこれヤバイっぽいぞ…」と
言った。
T幸は始め呆然としていたが、俺に言われて「たぶん…あれいきものだよな?刺激しない
ように逃げよう」というと、ゆっくり後ずさりし始めた。
ゆっくりと暫らく後ずさりして距離をとると、俺たち2人は後ろを振り返り早足に
車とM衣とH奈ところへ歩き出した。

M衣とH奈の所まで来ると、2人が青ざめた顔で「ねえ、こっちついてきてるよ!」と
俺達の後ろを指差しながら言ってきた。
驚いて俺とT幸が振り返ると、“それ”は10mくらいの距離ところに浮いている。
どうやら一定の距離を保って追ってきているらしい。

M衣が「T幸君…なんかあれ気持ち悪い、早くっこからはなれよ」と言ってきた。
俺とT幸も言われるまでもなくそうするつもりで、4人で大急ぎで車に乗り込み発進させた。
車を発進させ、これで安心だと思っていると、T幸の様子がなんかおかしい。
しきりにバックミラーやサイドミラーをちらちらと見ていて、妙に落ち着きが無い。

547 5 sage New! 2011/06/26(日) 00:24:49.28 ID:rfZFHv4u0
俺が「T幸、どうした?」というと、T幸はジェスチャーでバックミラーを指差している。
どうやら「自分で見てみろ」ということらしい。
俺はその時点でどういう事か解ったが、とりあえず自分の目で確認したいので、助手席
から腰を浮かせ後ろを見た。
予想通り、リアガラス越しに“それ”が追ってきているのが見える、車は細い山道という
こともあり70kmくらいの速度だが、“それ”は付かず離れずで追って来ている。

あのなんだか解らない物体は、俺たちに直接危害を加えるようなことはしないようだ、
でも、「生理的嫌悪感を感じるなんだか解らないもの」に追いかけられるというのは、
それだけで恐ろしい、俺はこの時それを心底実感した。

H奈が「ねえ、どうするの?あれずっと追いかけてくるよ!」というと、T幸が「とりあえず
この道をずっと下れば町中にでるはだ、とにかくそこまで逃げよう」と言った。
たしかに、相手に正体も目的も解らない以上、人気の多い場所に行くのが一番
安全そうだ、“それ”も何か仕掛けてくる様子も無いし、このまま走っていれば
諦めるかもしれない。

車を走らせて10分位した頃だろうか、車内に変化が起きた。
M衣が「○○君(俺)、ちょっとエアコン止めてほしい」と言ってきた。
そういえば…、ずっと追われていることばかりに気を取られていたが、なんだか車内が
妙に肌寒い。俺はまだまだ結構標高が高い場所なのと、そろそろ暗くなり始めたのが
原因だろうと思い、エアコンを止めた。
が、エアコンを止めても車内はどんどん寒くなっていく。息が白いとかほどではないが、
夏場とは思えないくらい車内が寒い…

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