生物・妖怪

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俺はT幸に「何あれ?」と聞いた。
当然T幸にもわかる訳がなく「いや、知らんて」「つーかわかるかよ」と当たり前の返答
をしてきた。
俺たちがそんな話をしていると、気になったのかM衣とH奈もこちらにやってきて、
H奈が「何してるの?」と言ってきた。俺とT幸は例の花っぽい物体を指差し、
俺が「あれなんだと思う?」と聞いてみた。
当然H奈にも答えられる訳がなく、「わかんない、それより早く展望台行こうよ」と
あまり興味無さそうだ。

545 3 sage New! 2011/06/26(日) 00:22:59.17 ID:rfZFHv4u0
が、俺とT幸はこの正体不明の物体にがぜん興味が湧いてしまい、とりあえず
近付いて正体を確かめようと、藪をかきわけて“それ”のほうへ歩き出した。
するとM衣が「ちょっとやめようよ、なんかあれ気持ち悪いよ…」と言ってきた、が、
T幸は好きな娘の前でカッコイイところを見せたかったのだろう、「大丈夫だって、ちょっと
待っててよ、すぐ終るから」とどんどん進んでいく。
H奈も「ねえ、もういいからやめとこうよ、私もなんかあれ気持ち悪い…」と言ってきた。

俺とT幸はM衣とH奈の制止も聞かず、とうとう“それ”から10mくらいの場所にまで
近付いた。近付いても“それ”の正体はわからなかったが、この物体がどういう形のもので
どういう状態なのかははっきりと解った。

“それ”を最初俺は花のようだと表現したが、近付いてみると全く別の異様な物体
だった。
今までこういうものを見た事が無いし、「似た」ものもあまり無いので、文字で表現する
のが凄く難しい…
最初の方で書いたように、長方形に近い外輪部分は朱色なのだが、近くで見るとこれは
花びらのようなものではなく、なんといえばいいのか。強いて一番近いものがあるとすれば磁石
を近付けた砂鉄が質感的にも似ているし近い、朱色のそんなかんじの金属質のものがザワザワと
蠢いている。

そして更に異様なのは中心部で、遠目にみたとき白っぽい何かに見えたのだが、
近くで見てみるとそれは色白の人の肌のような質感の球体に近い物体で、凹凸や
目鼻口のようなものは一切なく、何と表現したら良いのか…人間の皮膚と肉が
そのまま球体になったような異様な姿で、時々息衝くように動いている。
ザワザワした朱色の砂鉄状のものが、人の皮膚のような球体の物体の外輪部を覆っている、
そうとしか表現ができない。

546 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/06/26(日) 00:23:58.15 ID:rfZFHv4u0
そして極めつけは、“それ”は空中に浮いていた。
見間違いではない、暗くなり始めた森の中ではあるけど十分な明るさがある、周りに本体を
支えていそうなものはないし、そもそも本体から手足が伸びているようにもみえない。
地上1mくらいのところに明らかに「浮いて」いる。
これが一番異様だった。

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