人形にまつわる話
姪と人形

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素麺のツユを垂らすなと、姉が姪を叱っている
姉の顔に、以前にはない険があるようだ、母家の奥さんの朗らかな顔を思い出しながらそう思った
午後は本屋に行くつもりだった
この時点でオレは神秘主義に陥っているつもりはなかった、ただ何となくあの神社の祭神に興味を惹かれたからだ

日本の神々、似たような本は何冊かあった
どれも素戔嗚尊、櫛稲田姫尊の名はあるのだが、毒蛇気神尊の名はどの本にも見当たらなかった
姉の家にはパソコンがない
仕方なく予め状況を掻い摘んで報せておいた、先の友人にネットで検索してもらう事にした

748 11 sage 2007/11/05(月) 00:52:36 ID:XmXn5Sn80
素戔嗚尊、本には元々は出雲の地方神だったらしいがインドの祇園信仰と融合する事で全国で祭られるようになったらしいと書かれている
説明は省くが牛頭天王と同一と見られる事が多いそうだ
八坂神社、氷川神社に祭られる
御利益は災厄、疫病を除くと書いてあった。
櫛稲田姫の方は古事記では櫛名田比売、日本書記では奇稲田姫と書くらしい、素戔嗚尊の妻
有名な八岐大蛇退治のヒロイン
名が示す通り、稲、水田の神様
素戔嗚尊が祭られている神社には大抵一緒に祭られているらしい
他にも色々書いてあったがよく解らんし退屈だ
本を枕に寝てしまった

目を覚ますともう日が暮れかけていた
またか、と憂鬱になる
最近、夜になるのが怖いような気がするのはオレだけだろうか
とりあえず飯を食わせてもらいに階下に降りる
姉は相変わらず辛そうだったが皿を並べている、甥がそれを手伝っていた
オレも手を貸そうとしたところへポケットの中の携帯が鳴った
東京の友人からだ
オレは通話にして庭におりた
彼の話を要約すると、毒蛇気神尊の言葉にヒットするサイトは五件にも満たなかったそうだ
しかし、この同じ静岡県にあの神社とまったく同じ三柱を祭る神社があるそうだ
ただ、そちらの方は神主も常駐しており、由緒も正しいなかなかに大きな神社らしい

関係者に迷惑が掛かるのでこれ以上の事は書けない

どうも牛頭天王と婆梨妻妻女との間の子、八王子の内の誰か、あるいはその子孫の誰かのことを指すらしい
なんの神なのか、なんと読むのか、それ以上詳しい事は、その時は解らなかった。
礼を言って携帯を切った
家の方へ振り向くと窓が開けっ放しだったことに気が付いた。
うっかりしていた、蚊が入ってくる
オレは家の中に入り窓を閉めた。

749 12 sage 2007/11/05(月) 00:53:29 ID:XmXn5Sn80
その晩も甥は枕を抱いてオレの部屋にやって来た
だが昨晩よりも幾らか表情が和らいでいたので、オレも少しは緊張が解けた
同時に、姪も姉と共にやってきた
さすがに姉も気になるんだろう
もしもウツる病気ならば困るから、しばらくオレの部屋で寝かせて欲しいと。
それならば、姉が作った料理を毎日食べ、同じコップで水を飲んでいるオレ達にとっては、科学的にはあまり説得力のない提案だとは思ったが、ここは姉の言葉に従った

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