宗教
神託

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802 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/01/06(日) 09:11:07 ID:HdsLqKzQ0
無心論者が神を自覚させられた話

床から突き上げるような音と、上下にがくんとゆすぶられる感覚。
目の前の電車の全面の硝子にピンク色や赤い滴が飛び散って。
運転手が電車をとめたあと両手で頭を抱え、運転席と乗車席の間を塞ぐ扉伝いに、
「うぁあ」
と呻く声が聞こえた。
小さい何か変な機械をいじっていた母親が、
乗車席の中を覗きこんでいた子供が泡を吹いて倒れて、泣き叫んだ。
小さい頃からこの夢を何度もみた。

小さい頃は単なる怖い夢。
大きくなるにつれて、妙なリアリティに悩み。
高校の頃、電車の人身事故の際の話というのを収拾してみると、
どうも本当に、人間を轢き潰した時の電車というのは、
上の描写であげたような状態になるらしい。

見たことも聞いたこともない事の筈、であれば正夢なのか?という問いは自然に浮かんできた。
或いは記憶に残らないような幼い頃遭遇していたのか。
どちらにしても、ただの夢だと考えるのは無理な話だった。

803 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/01/06(日) 09:11:30 ID:HdsLqKzQ0
JRのある駅を出発する時、扉が閉まった瞬間に背筋が凍りついた。
乗車席の中をのぞこうとする、背伸びした子供。
お母さんは携帯電話をいじりながら、子供をちら見していた。
この二人の顔に見覚えがあった。
子供はひくひく震えながら口からぽこぽこと泡を吹きこぼし、
親は髪をかきむしりながら半狂乱に叫びまわった人だ。
俺の夢(=未来?)の中で。

なんで自分がそのときまで、その親子に気づかなかったのかもわからない。
気づいてたら、下りてる。
俺は臆病な人間だし、スプラッタ映画ですら吐くのに、現実に目の前で、そんなことが起こったらどうなるか。
でも現実に、目の前にいたその二人にその時まで気づかず。
閉まった扉の向こうの景色がゆっくり後ろに流れていってしまってた。

804 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/01/06(日) 09:11:55 ID:HdsLqKzQ0
俺は、未来を本当に見ていたんだと理解した。
俺がその電車に乗る所まではどうやら宿命だったと、諦めた。
そして、人が線路に飛び込むのも宿命だとしたら、
俺はもう逃げ隠れがきかないんだろう。
デジャヴュなんてものじゃない強い感覚。
知っている景色が運転席の向こうから迫ってくる。

俺は、その景色から逃げるように後ろを振り返ったんだが。
ニ両目、いや最後部を目指したいのに足が動かなかった。
俺は、見届ける事も俺の義務なんだなと把握した。
目を瞑るくらいの自由は許されているものかと目を瞑ってみたが、
簡単に出来た。
でもソノ時に出来るかはわからない。

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