ホテル・旅館
白い女の顔

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友達三人で民宿に泊まった時の話し。
湿気くさい畳みに古い赤色のテレビ、種類は解らないが鳥の剥製が置いてある、
まぁ素泊まり4200円って値段にぴったりといった具合の部屋だった。
夜になると周囲の店はさっさと閉まってしまい、壊滅的にすることがなく
部屋でビールを飲んだら一時頃までテレビを眺め、雑談の後、電気を消して寝ることに。

それからずいぶん経ったが、どうも堅い枕が気になって寝付けず、ぼんやり横になっていた。
私を真ん中に両隣りの友達は二人とも寝た気配がする。
仕方なくうとうと天井を眺めていたら、遠くから徐々に耳鳴りがやってきた。
金縛りの経験はあったので、あぁ家の外では初めてかも、なんて考えてたらジーンと固まってしまった。
早く自由になろうと手の指先と、足先に神経を集中して、動けー動けーと念じていたら
白いものが視界を掠めた。もう一瞬でゾっと鳥肌がたった。
その白いものはつー、つーっと、左右に振れて、視界に出たり入ったり、
インベーダーゲームみたく段々と迫ってくるイメージ。
おいおいおい…なんの真似だよと薄目でみてたら、近付いてくるのではなく
それが大きくなっている事に気付いた。形になっていくといか。

543 2/4 2007/07/28(土) 01:42:23 ID:+PSBLjbi0
それが能面というか、白い女の顔だと解ってしまった途端
無理だ!これは嫌だ!って、もう目は開けられなかった。
金縛りを解くより、ただ息を殺して自分の存在を消すのに必死だった。
とにかくスルーしてほしい一心で。と言っても青筋たつほど力んでしまっていたと思う。
その内ピーンと鳴っていた耳鳴りが急に、ブオンブオンとすごい圧力を感じる
ものに変わって体がずんっ、と重たくなった。
ふぁっと目を開けてしまったら、荒川静香に似たデカイ面のような顔が
畳一畳くらいの大きさで私の真上にじっと止まっていた。
全体が白が濁っている感じでとにかくデカかった。
私はなぜだかずごい速さで瞬きをしていた。
とても直視できないけれど、全く目も反らせない心情というか
目の前の光景に圧倒され大混乱していたのだと思う。
一際暗く、闇の掛かったような目。そう認識してしまったら
にんまり口がコマ送りで「う」の発音の形に変わっていった。
こいつの声なんて絶対聞きたくない!あまりに恐ろしい!
迫り来る恐怖に、心の中で声にならない叫び声を上げそうになったその時。
546 3/4 2007/07/28(土) 01:46:30 ID:+PSBLjbi0
右隣の友達が、ぶぅっ、と屁をこいた。

へ?と思ったら巨大な顔は瞬きする度、強い光を見た後に残るカラフルな残像
のようにあやふやに拡散していき、すぐに形が解らなくなって、そのまま消えてしまった。
耳鳴りも消え、途端に救われたというか、全身の力が抜け、助かった!という気持ちに包まれた。
屁をこいた友達の方を見たら、こちらに背を向け寝息を立てている。
横になったまま部屋を見回したが特に変わった様子はなく、鼓動はバクバクい
ってたけど嫌な気配も感じなかった。
「なんだったんだ、なんだったんだ」と頭で繰り返してる内にどっと疲れに襲
われ、時計をみたら三時を過ぎていたのを覚えているが、その後は二人を起こ
すことなく、冷や汗も乾ききらないうちに寝むってしまったらしい。

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