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785 旅館5/1 ◆BxZntdZHxQ sage New! 2008/05/07(水) 00:16:50 ID:fcHZQV3T0
以前にどこかでさわりだけ話したかも知れない。
同行者の事ははっきり書かなかったと思うが、いとこ会の旅行だった。
母方のいとこ六人、そのうちの何人かには、ちょっと変わったところがある。
最年長の亜矢ねえは「辿り着かない」。
本当にヤバい心霊スポットとかに、何故か行こうとしても行かれず、道に迷う。
俺と同い年の美保は…ちょっと一言では説明しにくいのだが、
見るタイプだと言っておこう。こいつの話は、また機会があればするかも知れない。
とにかく、ある古い宿場町で宿をとった。
JRの駅から車で随分移動した所が中心部で、特徴のある家並みが続く町だった。
陽も翳り薄暗くなってから、川べりの宿を目指してタクシーで行くと、
風情のある古い建物に、不釣り合いなネオンサインが「●●楼」と掲げられていた。
駅前は新しいビジネスホテルが何軒かあり人も多いのに、辺りは何だか寂れている。
一瞬ラブホテルにでも迷い込んだかと思ったが、玄関を入ると普通の旅館。
宿の人は親切で感じがよく、今日は家族連れやカップルで満員だと話してくれた。
建物は川に面した豪華な造りの部分と、道路側の質素な造りの部分の二棟に別れている。
俺達は玄関正面の廊下を左に折れて、質素な建物の方へ通された。
廊下を曲がりすぐに自動販売機のコーナー。その先に階段。向こう側に大浴場の看板。
自販機の前にも階段。廊下を挟んで向こうにも階段が見える。
?????
やけに階段が多い。それに、階段自体が妙に狭い。幅が襖一枚分もないのだ。
こう配もキツく、上りはいいが、下りは気を付けないと転げ落ちそう。
天井も低く、一段下がっている部分では背の高くない俺でも頭を下げないと不安だ。
上がり切ると右がトイレ、左と後ろが客室の入口だった。
つまりこの区画には、二部屋予約していた我々しかいないことになる。
最奥の部屋に女性陣、階段側の部屋に俺たちが通された。
786 旅館2/5 ◆BxZntdZHxQ sage New! 2008/05/07(水) 00:17:57 ID:fcHZQV3T0
部屋は古いが、割と広い。
素っ気無いドアを開けると、正面が細い廊下で左は壁、右は窓で駐車場が見える。
廊下は左へ折れて突き当たり、廊下に面して障子が四枚、向かいは窓で下は庭園だ。
庭園の反対側に玄関を挟んで反対側の棟があった。
廊下の突き当たりには、あり得ない古さのエアコン?がある。
暑くも寒くもない時期で、窓を開ければ用は足りそうだからいいが、動くのだろうか。
障子を開くと十畳の和室で、更に奥に開け放たれた襖が見える。
開いた襖の向こうには四畳半ばかりの次の間まであり、奥に鏡台が置かれていた。
「ボロいけど広いねー!」などと言って荷物を置くと、そこへ美保が様子を覗きに来た。