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690 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/02(日) 17:34:06.43 ID:FZTpamSJ0
このスレでよく寺の和尚や神主に霊感や祓う力があるかどうか話題になるんで
そのことについて俺が寺生まれwで住職をしている友人から聞いた話を書いてみる
俺の生まれた地域は田舎だけど
町で一番大きな友人の家の寺はけっこう敷地が広くて立派な作りをしてる
ただ宗派の総本山から住職が派遣されてくるほどの格式ではなくて
明治以降は長男が代々世襲で住職を務めている
友人は小学校前くらいの時分に
よく祖父である大(おお)和尚に連れられて墓域の片付けと掃除に行ったそうだ
ここらでは寺の住職に定年はないので基本的に死ぬまで僧職にあるけど
大和尚はその頃で七十歳前後だったはず お祖母さんはもう亡くなっていた
友人の父は四十代だったが、ちょっと離れた市の同じ宗派の寺で修行していた
掃除についていくとカラスが集まっている
これはお供え物を持って帰らない人がいるんでそれをねらってくるんだけど
そのカラスの中にどうも他とは違う感じのが混じっているように友人には思えた
どう違うのか確かめようと二三歩近づいてみると
十羽ちかくいるうちの二羽がカラスの黒い丸い目ではなく
白目のある人間の目を持っている ただし人の目よりはずっと小さいけど
691 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/02(日) 17:34:38.10 ID:FZTpamSJ0
友人がそれを気にしているのに気づいた大和尚は
「ほう お前あれらが見えるか」といって
「お前の母親を拝み屋筋から嫁にもらったのは正解だったようだな
残念ながらお前の父親はまったく見る力がないから」
そのようなことを言って数珠を出してそのカラスのいるほうに向かって短くお経を唱えると
人の目をしたカラスはぼんやりとにじむようになって消えた
「あれは何?」と友人が聞くと
「なーにたいしたものではない 人の魂などではなくちょっとした悪い気が凝ったものだよ」
と教えられた
大和尚は続けて
「別にあれらが見えなくても寺の仕事に支障があるわけでもないし、立派に勤めることができる
ただ、こういう力が途絶えてしまうのは残念だから」というような意味のことをいったらしい
友人にはその当時は何のことかわからなかったが
友人の母親はその地域のお寺とは違う民間信仰を司る家の娘だった人で
ずいぶん無理をいってお寺に嫁に入ってもらったという
それで俺ら一般人からみれば不思議な力が友人にも受け継がれたということのようだ
友人にそういう力がこれまで役立ったことがあるかと聞いたら
葬式のときに引導をわたした後に
まだ霊魂がこの世にとどまっている気配というのが何となくわかるんだそうだ
それでその後の儀式の力の入れ方を調節する
たいがいは仏教でいわれる四十九日までとどまっていることは少なくて
三十日前後で気配は消える いわゆる成仏するということか
ただ恨みを飲んで亡くなった人などは強い念が残っている
せまい町なので亡くなる前後の事情はだいたいわかっているから
自殺者などは特に念入りに儀式を行うことにしているという