田舎・地方の習慣
礫ヶ沢の鬼礫
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窓の外をみると、むちゃくちゃ汚れた男がベランダから部屋の中を覗いていたんだ。
目つきが尋常でなく、いやな笑い顔でぶつぶつ言っている。
その常軌を逸した姿を見たとき、俺の背筋は冷たくなった。
男は手にした石でガラスを割ると、ゆっくりと部屋の中に入ってきた。
俺たちはしばし呆然としていたが、そこは男3人、カッターを振り回す男相手に、椅子、ナベなどで立ち回り。
何とかその男を取り押さえた時に、ドアの外から警官の声がしたんだ。
「こんな怪しい風体の男がベランダをよじ登ったりしてていれば通報もされるわな」
なぜか冷静に考えていた俺の脇では、Aが失神してしまっていた。
俺たちが捕まえた男は案の定Eで、心神喪失状態でどうなるかは分からないとのこと。
Aは実家に帰って、その後のことは知らない。
寺の住職に電話をしたら、俺がこっぴどく叱られる羽目になった。
後は任せてもう関わるな、と釘をさされた俺は、正直あんな大立ち回りを演じるのはいやなので住職の言葉通り、事件に関してはもう触れないようにしている。
たまにBとCで飲むときに少し話すくらいだ。
874 礫ヶ沢の鬼礫 7(終) sage 2005/12/12(月) 01:49:05 ID:/kR0P5H+0
ただ、ひとつだけ気になっていることがあって・・・
鬼の礫、その行方がどうなったか。
あのとき、Eを取り押さえたとき、部屋に鬼の礫が転がったはずだが、警官がやってきたときには石の姿は見えなかった。
いや、警察が押収していれば、住職が何とかしているだろうけど。
もし誰かが持っているのなら、今でもそう考えると背筋が寒くなる。
礫ヶ沢の鬼の礫には気をつけるように。
気をつけるようにじゃねーよ。阿呆
可哀想な人