厳選怖い話
ワンピースの女とBAR

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花だった。

BARの扉の脇に透明のビンに入れた花が置いてあったのだ。俺は
なんだこれ?と思いしゃがんで眺めていた。と、誰かが階段を降り
てくるのがわかった。ワンピースの女だった。しかし今日は白いワ
ンピースではなく、黒い喪服?を着ていた。

「あの・・・こちらに何か御用ですか?」

俺は話しかけられたことに驚いて、え!?あ、あの、いつもこのお
店に通ってる者ですけど・・・と言うと喪服の女は「え・・・」と怪訝そ
うな顔をしてこんなことを言った。

「あの・・・こちらは1年前から営業しておりませんよ・・・」

俺は何を言ってんだこの人、と思い「え?ここ数ヶ月、ここに通っ
てたんですけど・・・」と言った。喪服の女はしばらく黙っていたが、
話し始めた。

422 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/01(月) 07:35:14 ID:5P0FeC7b0
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この店は1年前に火事で全焼し、従業員と客が全員死亡したと言う。
その後1年経つがテナントの入居者が見つからず、扉は今も閉じら
れたままだと言う。喪服の女は、その時亡くなった客の双子の姉で
今日朝、1周忌法要の前にここに立ち寄り、花を置いたのだと言う。

俺はしばらくポカーンとしていたが、ふと喪服の女に聞いてみた。

「あの・・・その双子のお姉さんって白いワンピースを着てませんで
したか?」

喪服の女はその場で泣き崩れた。

正に火事の日、その服装で出かけたのだと言う。俺はしばらくその
場に立ちつくしていた。重い扉を引いてみた。確かに硬く閉ざされ
ていた。その後、俺は喪服の女に俺が遭遇した事件について語った。
喪服の女は、きっと姉は突然の死が理解出来ず、あの店で諭してく
れる誰かが来るのを待っていたのだろうと言った。

俺は喪服の女からお礼を言われ、彼女の家に寄らせて貰い仏壇に手を
合わせた。俺は彼女の姉と従業員(初老のバーテンダー)が成仏できる
ようにと祈った。何とも言えないモヤモヤとした気持ちに包まれた。

しかし・・・

424 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/01(月) 07:45:28 ID:KoE/j8HLO
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この事件はこれで終わりではなかった。

翌日、俺は会社でノートPCを立ち上げた。例の企画のシナリオを
企画書に落とし込む為だ。まだ昨日の出来事で気持ちがブルーだっ
たが、気持ちを切り替えて作業を始めた。と、テキストを見ていて
何かおかしな事に気がついた。

あれ、おかしいな・・・なんか内容が変わってね?
俺が書いたシナリオでは主人公がBARで起こった殺人事件を、そ
の場で解決していくストーリーになっていた。しかしおかしい。読
んでいくと主人公が殺されることになっている。犯人も客の男だった
はずだが、後から追加したワンピースの女になっている。

おかしいな?いつ書き換えたんだっけ?
俺は頭を整理しながら、これじゃダメだよな。と思い、最後に書き
上げた時と同じように一気に書き直した。

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