洒落怖
倦怠感の原因

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明日出社したらみんなに詫びようと思ったΑが、「停止」ボタンに伸ばしかけた指を止めたのは、突然「スースー…」と呼吸が戻った時だった。・

「あれ?」とつい口に出したΑがスピーカーに耳を近付けた・
その時

655 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 05:01:02.89 ID:LgiXgLb10.net
(5)
すぐそばのフスマが「スッ」と開く音が、スピーカーから確かに聞こえた。・

狭いアパートなのでフスマの向こうはすぐ玄関になっている。・

たが、確実に、「誰かがフスマを開けた」音がしたのだ。・
Αは凍りついた。・

「何かの聞き間違いだろう」と自問する間もなく、今度はフスマを「パタン」と閉める音。そしてすぐに、「シュ…シュ…」と「誰かが」畳を歩く音が続いた。・

どうやら「誰か」は、寝ているΑの足元の方をぐるりと回り、反対側の枕元までゆっくり移動したらしい。・

それから「ストン…」と座り込む音。・

「……………………」・
長い沈黙。・

しかし、「誰か」は確実にそこに「いる」。・

なぜか、それだけは、わかる。・

それとも、感じるといった方が正確だろうか。

656 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 05:01:50.04 ID:LgiXgLb10.net
それとも、感じるといった方が正確だろうか。

「停止」ボタンに指をかけたまま固まっていたΑは、寝ている自分をジッと眺める「何か」を想像して、体中から汗が吹き出した。・

そして次に、またフスマが「スッ」と開く音が聞こえた時、Αは飛び上がりそうになるほど驚いた。・

「別の誰か」が部屋のフスマを開けたのだ。・

そして同じように「シュ…シュ…」と歩いてΑの枕元まで来ると、やはり「ストン…」と座り込んだ。・

Αの頭は恐怖と混乱の極みである。・

にも関わらず、その後部屋に入って来る「誰か」は次々と現われた。・

(7)
まず「スッ」とフスマが開き、「パタン」と閉まる。・

「シュ…シュ…」と歩いて枕元まで来ると「ストン…」と座り込む。・

しばらくの後、また「スッ」とフスマが開く音…。・

「スッ」・

「パタン」・

「シュ…シュ…」・

「ストン…」・
これが繰り返された。・

Αは気付く。

657 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 05:08:16.36 ID:LgiXgLb10.net
「入って来る『誰か』は、皆体格や年令、性別が違う」・

どこで判別がついたのかはわからない。足音からそう判断したのか。

まるで、たくさんの人が小声で耳打ちしているような「ボソボソ…」という空気が部屋中に充満している。・

かと思えば、子供が「キヤッ…キヤッ…」と戯れる声も断片的にあるような。・

瞬間、Αは「葬式の風景」を連想して、ますます呼吸を荒くした。・

いずれにしろ、「人数」はΑを取り囲む程には達した。・
得体の知れない騒めきは、まるで脈打つように強弱している。・

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