この怖い話は約 3 分で読めます。
新しいアパートに引っ越してから、男(Α)は体調が悪かった。・
さして仕事が忙しいわけでもなく、睡眠も十分にとってはいるが、朝起きると常に薄らと倦怠感がつきまとう。・
その旨を会社で話した時の周りの反応にΑは驚いた。・
「え~…、あんなに大イビキかいて寝るお前が?」・
多少の違いはあれど、皆口を揃えてこう言った。・
会社といっても小さな営業所だ。・
同僚や上司は10人に満たないが、それだけ気の置けない仲間ばかりなので異口同音に「大イビキかいて寝る」と言われたことに、Αは戸惑った。・
つまりΑ本人に、自分のイビキがひどい自覚がなかったのだ。
640 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 03:12:47.83 ID:R1M7oTgO0.net
(2)
帰り道、Αは考えた。・
自分のイビキは、どうやら社員旅行の時に発覚したらしいが、それなら早く教えてくれればいいのに…。・
いや、待てよ。俺ってホントにイビキかいて寝てるのか?・
長く独り身である自分を(要は寝ている姿を確認する者がいない自分を)、みんなで口裏合わせてかつごうとしてるんじゃないか?と思い至ったのだ。・
そうなれば毎晩グッスリ「静かに」寝ている証拠を突き付けて、連中の鼻を空かしてやるのも一興だ。・
その夜、Αは枕元に「録音」にセットしたラジカセを置いて、床に就いた。・
642 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 03:14:57.09 ID:R1M7oTgO0.net
(3)
帰り道、Αは考えた。・
自分のイビキは、どうやら社員旅行の時に発覚したらしいが、それなら早く教えてくれればいいのに…。・
いや、待てよ。俺ってホントにイビキかいて寝てるのか?・
長く独り身である自分を(要は寝ている姿を確認する者がいない自分を)、みんなで口裏合わせてかつごうとしてるんじゃないか?と思い至ったのだ。・
そうなれば毎晩グッスリ「静かに」寝ている証拠を突き付けて、連中の鼻を空かしてやるのも一興だ。・
その夜、Αは枕元に「録音」にセットしたラジカセを置いて、床に就いた。・
646 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 03:20:48.31 ID:R1M7oTgO0.net
すみません、間違えた
(3)
翌日。休日である。・
根拠のない期待感を抱きながらΑは「再生」ボタンを押した。・
5分、10分とΑが寝付くまでガサガサと雑音が混じっていたが、その内「スースー…」という規則的な呼吸が聞こえ始めた。・
Αが「やっぱり」と思いほくそ笑んだのも束の間、「スースー…」はやがて「ガーガー」になり、最後には聞くに耐えない大イビキになると、Αはガックリと肩を落とした。・
同僚達が言っていた事は紛れもなく真実だったわけである。・
654 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/08(金) 04:59:39.13 ID:LgiXgLb10.net
(4)
さっきまでウキウキとラジカセにかじりついていた自分を思い出し、Αは古い木造の四畳半で一人赤面した。・