洒落怖
南方仮面の間

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屋上でケータイを回収し、階段を下りて行った。
やはり、帰りも気配を感じた。
気になったので周囲を照らしたが、誰もいない・・・。
何気なく、仮面を一つずつ照らしながら、仮面を眺めた。
夜の暗闇の中でみる木彫りの仮面は、かなり不気味だった。

ある仮面を照らしたとき、一瞬目を疑ったが、冷汗がどっと出て動けなくなった。

仮面の目に空けられた二つの穴の中に、二つの目玉があったのだ。
目玉はこちらをじーーっと眺めている。
見た目は人間の目玉そのものだ。
あまりの恐ろしさに声も出なかったし、腰が抜けそうになった。
こちらと視線を合わせたまま、自分は後ずさりした。
目を合わせるのは恐ろしかったが、照明と目線は離せなかった。
暗闇になった途端、向かってくるかもしれないと思ったからだ。
こちらが動くと、動きに合わせて目玉もゆっくりと動いた。

下り階段の手前まで来たとき、視線とライトを仮面から外した。
それと同時に、全速力で階段を駆け下りた。
途中でこけそうになったが、構わず走って逃げた。
事務所の中まで戻り、すぐに入り口ドアの鍵をかけた。
そして、朝まで部屋から一歩も出ずに過ごした・・・
一晩中、廊下が気になって仕方なかったが、部屋に戻ってからは大丈夫だった。
145 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/14(土) 06:27:54.06 ID:m0vMDeTK0.net[4/4]
後日、オーナーに彼が集めている仮面について聞いてみた。
信じて貰えなさそうなので、あの晩の事は話さなかったが・・・

オーナーは言った。
飾られている仮面の中には、呪術的な儀式に使う物も結構あるという。
祖国ではシャーマンや祈祷師が使う場合もあるそうだ。
祖霊や精霊を召喚する儀式に使ったりするのだとか・・・。
自分はこの話を聞いて納得した。
仮面から気配を感じたこと、あの晩に目玉を見たこと、そういった変な話についてだ。
そんな物を気軽に買ってきて飾るなよ、と思ったが・・・

自分が遭遇した怪奇の話をしても、信用しないだろうし、苦笑いするだけで済ませた。
とりあえず、夜は仮面に絶対近寄らないようにしようと思った。

こんな機会だから言えるけど、南方の土産物には結構やばい物もある。
ガチの呪物とか儀式用が混ざっているからだ。
皆も見かけたときに変な雰囲気を感じたら・・・気を付けたほうが良いかもね。

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