洒落怖
工事現場

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『故障かな?』

と思いつつカセットに切り替えると、こちらは異常なく音が出るので、お気に入りのテープを入れタイマーにしてベッドに入った。
5分もしないうちに、尿意があるような気がしてきた。
こうなると気になって眠れないので、トイレに行き、またベッドに入った。
ラジカセからは、聞き覚えのあるDJがリスナーのはがきを読んで爆笑しているのが聞こえる。
私は夢うつつの中で、

『このDJ面白いんだよな』

と思っていた。

『DJ、DJ、・・・!?』

私は寝る前にカセットにしたはずである。
何故ラジオになっている!?
ビックリし飛び起きようとした瞬間、体が全く動かない。
金縛りである。
私は自分の心臓の音が妙にうるさいのを感じながら、目玉だけを動かして室内を見回した。
すると、自分の足元にソレが居た。
全身青白く透けそうな感じで、頼りない感じでそこにソレは立っていた。
すると、先ほどまでDJの笑い声が聞こえていたラジカセからノイズ音が聞こえ、そのノイズに混ざって

「お・い・・ぼ・・う・ず・・・な・ぜ・・だ・まっ・・て・た・の・・だ・・」

と切れ切れに聞こえてきたのである。
私は心の中で、

『ゴメンナサイ、ゴメンナサイ』

と繰り返していると、ソレは私の足元からベッドに上がってきた。
心臓が壊れるくらいの動機に襲われながらも必死に謝り続ける。
やがてソレが私の腹の上に乗り、顔を覗き込むようにしている気配が伝わってきた。
あまりの恐怖に目も開けられない。
しかし、ソレは私の顔に顔を近付け動こうとしない。

どれぐらいの時がたったのだろう、不意に腹の重みが無くなり、恐る恐る目を開けると目の前には、真っ赤にはじけた石榴、その中で見開かれている両目が見えた。
ソレは私の腹から降り、頭側から覗き込んでいたのである。
私はそこで気を失ってしまい、気付いたら朝になっていた。
やはりソレは2人のいたずらに気付いている。
そして、その事を秘密にしている自分にも恨みを持っている。
恐ろしくなった私は早速友人2人に電話をしたが、2人とも既に出かけたとのこと。
私は誰にも相談できずに、一人自宅で震えていた。

その日、2人の友人は帰宅しなかった。
2人の友人の家では大騒ぎになり、警察へも捜索願が出された。
仲が良かった友人と言うことで、私のところにも警官が事情を聞きにきた。
私は、2人の友人も心配であったが、それ以上に昨夜の出来事が恐ろしく、事の経緯を全て警官に話した。
早速パワーショベルに残された指紋と友人2人、そして私の指紋が照合され、友人2人の指紋が検出、私の指紋は検出されなかった。
平行して友人2人の捜索は続けられたが、結局その日は発見されなかった。

2日後、2人の友人が発見された。
駅ビルからの投身自殺で、2人で一緒に飛び降りたらしい。
遺書その他は見つからなかったが、一連の騒ぎの当事者として責任を感じての自殺と見ているらしい。
当然即死状態だが、頭部のみが激しく破壊されており、その他の部位については奇跡的なほどダメージが無かったとのこと。

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  • 匿名 より:

    因果応報

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