洒落怖
無念

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725 5/5 sage New! 2006/10/30(月) 12:05:04 ID:jJphJYCV0
そこに一週間前に行って来た訳だが。
元々飼い猫が家を逃げ出してそこの敷地でにゃーにゃーいうから仕方なく門を押し開けてそこまで行った。
抱き上げてふと地面を見てぎょっとした。
ちょうど男の手のひらにすっぽり入るくらいの、丸い手鏡。
紫色の房飾りがあったようだが、すぐ目をそらしたのでちゃんとは見ていない。
それが割れるどころか傷も汚れもなく、ぽつんと落ちていた。

あれだけの破壊の後でなぜ、というのもあるけれど、もう一つ理由がある。
うちは神道だが、仏教で言う位牌の代わりに神道では鏡を使う。
鏡は『みたまさま』と呼ばれ、葬式では鏡に魂を移す作業もある。
その『みたまさま』と鏡が、ソックリに見えたのだ。
見た瞬間、背中がぞくりとして嫌な汗が出た。
すぐに引き返したが、門で一度振り返ると夕日をきらりと映していた。
ネコもろとも家の前で塩祓いしたのはいうまでもない。

彼女は荒地となった今もあそこを家としてとどまり続けているのだろうか。

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