洒落怖
失った物と得た物

この怖い話は約 3 分で読めます。

次の日、俺は人生を悟ったような顔つきで登校していた。
昨日まで目線も合わせられなかったイケメン兄ちゃんやヤンキーにガンを飛ばそうと思ったほどだ。
しかし飛ばす理由も見つからないので、飛ばすのをまた今度にすることにした。
今まで自信がないせいか、地面ばかり見ていて歩いていた。
だからだろうか、正面をまっすぐ見据えて登校していると、不思議な光景が目に映る。
例えば、視界の右端には顔面水ぶくれでズブ濡れの女が立っている。

左を見れば、首が見当たらない6歳くらいの男の子が三輪車にのっている。
よくみれば首は背骨だけでつながっており、三輪車の後ろから転がって男の子についていっている。
俺が自信を失っている間に、世の中のみなさんは自己犠牲の精神が達者になっていたようだった。

701 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/10/30(月) 01:33:02 ID:Ge+x/JfH0
学校につくまでの間、あきらかに死んでいないといけない人たちを数人見かけた。
さすがに話しかけることはできなかったが、俺の興味は彼らに向きっぱなしだった。

あたりをキョロキョロ見渡しながら学校の門をくぐろうとしたとき
ガシ!!!!!
何かが俺の肩をつかんだ。

振り返ると、そこには今井田が立っていて、なぜか申し訳なさそうな顔をしている。
普通なら、昨晩一つになった男と女だ、会ったと同時に手を繋ぎ女は男の肩に頭をのせて感慨にふけるのが通例だろう。だが今井田は、申し訳なさそうなのだ。
「どうした?」
「ごめん」

何をあやまられたのかわからなかった。
「なにが?」
「見えてるんでしょ?」

今井田はそういうと、近場にいる死んでいなきゃいけない容姿の人間を見た。
俺達と同じくらいの学生で、長く黒い髪が似合う女の子が左足と右腕を欠損した状態で這いつくばってうごめいている。
「なんだ、今井田も見えてるんだ」
「なんでだかわかる?」
今井田の声は無理に明るくしているようだったが、顔は泣き顔だった。
「童貞卒業したから?」
「馬鹿じゃないの!」

今井田は初めて俺を叩いた。ペシペシと叩くのだが、女の子叩きが愛くるしい。
俺はてっきり、童貞を卒業したら、人間ってのは幽霊が見えるようになるのだなと思っていた。
しかし今井田の説明によると、今井田の家系は代々霊感の強い家系で今井田家の人間と性的関係を結んだ人間には、霊を視認できる能力が備わるそうなのだ。
軽い性病みたいなもんかと冗談交じりに霊感を手に入れた感想を述べると、
今井田は安心したようだった。俺が霊感を手に入れた事で今井田に恨みをもつことをしなかったからだ。

703 ぼっきぃ、でっけぇ sage New! 2006/10/30(月) 02:04:32 ID:Ge+x/JfH0
それから俺達二人は、まわりの人間に力を悟られないように生活した。
今井田は生まれたときから力をもっていたようなので、全くもって平静だったんだが俺はそうもいかなかった。昔から幽霊なんか全然怖くなかった。
幼稚園の時、バタリアンをみながら眠りについていたほどだ。死霊のしたたりも心地よい睡眠を誘ってくれた。
しかしそんな俺でも鬱病や自律神経失調症、下痢、便秘、水虫、脱糞などを同時併発してしまった。
それほどリアルの幽霊達はシャレにならなかった。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    しょうもない

  • 失った物と得た物
    関連ワード