洒落怖
箪笥

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428 本当にあった怖い名無し sage 2006/12/02(土) 19:28:42 ID:MHU6YZnE0
俺の先祖は武士だったらしく、ある殿様の家臣だったそうだ。
ある時、小国と小国同士の戦が起きた時、自分たちも加戦したそうだ。
しかし、こちらに勝ち目が無いと判断した先祖は、逃げたそうだ。
後に自軍は負け、先祖只一人が生き延びたのだそうだ。
そこからはよく分らなかったが、なにかよろしくない事が起きて
一族を巻き込んだそうだ。
おそらく、呪いだろう。と、婆ちゃんは呟いた。
その言葉を聞いたとき、俺の中で何かを理解した。
婆ちゃんは続けた。
実はあの箪笥の中には骨が入っているそうだ。
その骨は誰のなのかは聞かなかった。もう大体理解していた。
婆ちゃんは話を終えると、泣き始めた。

四年生の夏。
やけに衝動の多かった夏休み。
この時をきっかけに、俺の最悪の日々が始まった。

563 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 10:26:07 ID:My9NkRbw0
俺の爺ちゃんは怪死している。
今までただの交通事故と聞かされていたが、ある日を境に
真実を教えてもらった。
やけに衝動の多かった四年生の夏休み。
その頃の足は酷い傷の量だった。

父が三年生の時、爺ちゃんは死んでしまったらしい。
34歳という、早すぎる死だった。
当然ながら俺は爺ちゃんにあったことすらない。
でも、残っていた古写真の中に一枚だけ、爺ちゃんが映っていた。
和服を着て眼鏡をかけた、威厳のある人だった。
父は頑固者だったから、親子だな、と思った。
亡くなる日のことだ。
爺ちゃんはその日は元気が無く、婆ちゃんは心配していた。
気になって爺ちゃんに聞いてみたところ、変な夢を見たそうだ。

564 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 10:26:55 ID:My9NkRbw0
焼け野原を自分一人だけが立っていて、辺りは何も無い。
そこをずっと走り回っているそうだ。
次第に、遠くから声が聞えてくる。
聞えないように耳をふさぎ、立ち止まる。
なんとなく、聞いていてはいけない様な気がするらしい。
突然、目の前に血溜まりができてきて、そこから
死者が群がってくる。たくさんの落ち武者。
目をつぶり、絶叫。そこで目が覚めたそうだ。
爺ちゃんも、俺と同じだった。
足にはいつも傷があったという。
その日の朝、布団は血まみれだったと言う。
婆ちゃんはそんな爺ちゃんのために、気分転換でもしなさいといった。
それがいけなかったのかもしれない。
婆ちゃんは、俯いて呟いた。

565 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/03(日) 10:28:24 ID:My9NkRbw0
爺ちゃんは散歩をしたそうだ。
田舎の田んぼ道、昔の道。何の、変哲も無い。
田んぼの中で、陣取るように死んでいたそうだ。
胡坐をかき、堂々と畑の真ん中で事切れていた。
だが、その死に様は誰もが不思議に思った。
首が無い。
現場にはなくなっていた。当時殺人鬼などいなかった。
怨念というのは、ここまであるものなのか。
爺ちゃんの見た夢は、先祖自身じゃないのか。
首だけ持って帰ったのか。
俺の死に様も、そんな物なのか。
婆ちゃんが、言った。
「あれは『切った』じゃない、『斬った』だよ。」
その時、婆ちゃんは俺の死を悟ったようだった。
俺もそうなる、と言いたかったようだ。

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