洒落怖
古着

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『○○金属¥250,000』とか『○○インダストリー¥500,000』
とかが縦に書かれて、その横に×印が書いてあった。

翌日、会社の同僚と居酒屋に行ったときに、この古着とゴミの話をした。
ひとしきり失敗談に笑っていた同僚が調子に乗って
「そりゃ絶対にサラ金の取立てメモだ。借金したヤツの恨みがこもってるぞ」
とか言うので、調子に乗った俺は
「ほら、こいつが呪いのメモ帳だ」
と、例の紙切れをテーブルに放り出した。女の子がキャーキャーと騒ぐ。

すると、紙切れを見ていた同僚の一人が言った。
「これ、本当にサラ金か?」

204 古着4/4 sage 2008/05/10(土) 17:07:17 ID:vDpRTLAM0
「このリストって会社ばっかだろ?個人名が書いてねえし
だいたいサラ金って、銀行からも取立てんのか?」
言われてみれば、リストには銀行と信金とかも書かれている。

「こりゃ、借金は借金だけど、サラ金の取立てじゃなく借りようと
してる奴のメモじゃねえの?零細企業の社長とかさ」

メモにある無数の×印は、取立てが失敗したのではなく、借金を頼んで
断られた印で、数少ない○印は何とか借りられたって事じゃないかと言う。
計算すると、×が約1200万、○は300万で、殆どが×印だった。

考えすぎかとも思ったが、メモにある数字と×印がふるえているのを
見ると、零細企業の社長が寒空の下で、倒産の恐怖に震えながら得意先
に頭を下げに駆け回って、ダメだった結果を鉛筆で書いているシーンが
浮かんで来てしまう。

悩んだ末に、結局コートは捨てた。それ以来古着は買わない。
翌日になって、ふとゴミ箱に捨ててあった例のレシートを見たからだ。
一枚と思ったレシートは、実は二枚で、水にぬれたか何かでくっ付いて
いたのだ。

1995年12月24日、23時の日付のあるコンビニのレシートには
コーヒー3本と肉マンが3つと印刷されていた。イブの夜中にコーヒーと
肉マンを食べていた様なのだ。
そしてもう一枚には、翌日の25日、ファミレスでステーキ二つとお子様
ランチの3名の記録が載っていた。

そもそも借金云々だって単なる想像だし、この3名だって家族かどうかも
分からないんだよね。
ただね、この3人がクリスマスに楽しく食事をしたとは思いたいんだよな。
最後の晩餐じゃなくて。

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