洒落怖
沈まぬ太陽

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もう十年も前の話だが、裏の世界のようなものを見た事がある。
当時の私は友達のいないぼっち女子中学生で放課後や昼休みは学校の図書館で専ら読書に勤しんでいた。
小さい図書館だった為に一年くらい通うと興味のあった分野の本はおおかた読み尽くしてしまい、
次はどの分野の本を読もうかと思案していると、一冊の本が目に入った。
タイトルは「沈まぬ太陽」という本で、今でも忘れない。図書館の一番奥の本棚の、一番下の段に置いてあった。
本というよりは小冊子といった方が近いかもしれない。
表紙は太陽に月が溶かされ、下にある人間界と人間も溶かされているような絵だった。
表紙を見た瞬間に絵が原子力爆弾を表しているのか?と考えたがそうでは無かったのだと思う。
内容もまた奇妙だった。
533 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/29(水) 01:09:32.66 ID:M3yeakvd0
あるページには押し花がされていたり、あるページには文章で「太陽は沈まない。太陽が沈まないと隠れる事ができない」と書いてあったり、
またあるページからは変な絵が延々と書かれていた。どのページの絵にも太陽は書かれていたが、一ページだけレモンがテーブルに乗っかっているだけの絵があった。
テーブルには「ようこそ」と書いてあった。さらに気付いてしまった。
その本はページ数が途中からバラバラだった。レモンの絵は真ん中にあったのにも関わらず1ページだった。

気味が悪かったのと、何か嫌な感じがしたので本を戻そうか迷ったが、好奇心には勝てずに本を読み進めた。

流石に破いて並べる訳にはいかないので対応したページを順に読んでいくと、レモンの絵はただの表紙であり、
次のページから出てくる太陽が徐々に姿を変えて人間を溶かして、最後は太陽が人間の形になるという構図が完成した。
完成したところで、だと思う。

534 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/29(水) 01:10:33.67 ID:M3yeakvd0
遠くから何か叫ぶような声が聞こえて同時に周りにいた人達が私をジロジロ見ていた。目つきはなんだかギラギラしていた。
居心地が悪くなって私は図書館を後にした。
外に出るとなんだか空気が濁っている感じがした。普段は全くそんな事は感じないのだが。
気にしすぎだと思い家までの帰路につくと、いつもと同じ道を通っているのに、見たこともないような景色が広がっていた。
無意識に進む。何故か不安感は無かった事を覚えている。

535 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/29(水) 01:12:30.97 ID:M3yeakvd0
しばらく進むと見たこともないような防波堤で数人の釣り人が釣りをしていた。海は墨汁
のように真っ黒、空は赤に近いピンク色だった事は覚えている。
変な形の魚が釣り人のバケツの中を暴れまわっている。
釣り人は近付いた私に一瞬驚いたようだが一瞥くれるとすぐに釣りに戻った。

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