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さて、どういう噂かと言うと、
井戸に対して何の儀式もしなかったからよくないことが起こるというものだった。
詳しくは知らないのだけれど、井戸を埋める際には、そこに竹の管を刺すことがあるらしい。
そうしないと、井戸の中の何者か閉じ込められて怒るのだということだ。
ある人は、神様というし、ある人は精霊というので、
何が井戸にいるのかということについては、人によって違うようだった。
土地の持ち主はそういった話しを迷信視して、そのための儀式をしなかったそうだ。
754 本当にあった怖い名無し 2008/01/18(金) 13:30:26 ID:JNEX9MCi0
和菓子屋の急死事件が起こった頃には、迷信を信じる人の多くは、
災いはその長屋があった土地だけにもたらされると信じていたと思う。
しかし、商店街の複数の店で不幸が続いた。
最も劇的だったのは、その土地の斜め向かいにあったクリーニング屋の店主の事件。
灯油をかぶって、自分の体に火をつけて死んでしまった。
その後には、隣の電気屋のおばさんが喘息の発作で死亡。
そんなふうに不幸が続いて、この商店街は井戸に呪われていると噂された。
758 本当にあった怖い名無し 2008/01/18(金) 13:59:54 ID:JNEX9MCi0
その後、井戸のあった土地には何度か商売を始めようとする人が入ったけれど、すぐに出て行ってしまった。
そのうちの一回は自殺が原因だと聞いているけれど、確かめていないので、本当かどうかはわからない。
井戸のあった土地の出入りが激しかったのは確かだ。
和菓子屋の事件以後、商店街の規模はしだいに小さくなり、
商店街そのものがなくなってしまった。
これは井戸とは何の関係もないかもしれないけれど、
井戸の話しとセットで話されることがよくあった。
その後、井戸のあった土地は再度更地にされ、ずっと売地のままだった。
見た目、30坪程度の土地だったけれど、
随分経ってから、その土地は2つに分けられ、小さな家が2つ建った。
土地を二分したとたんに、なぜか買い手はすぐに決まったそうだ。
どうなるものかと近所の興味を惹いたんだけど、
私の知る限り、そこに建てられた家は、それ以降空き家になったことはない。
何のオチもなくて申し訳ないけれど、
その土地にまつわる不幸の始終をリアルタイムに聞いていた私には、
洒落にならないほど怖い思い出だ。