洒落怖
秋のある日

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523 英一郎 秋のある日7sage New! 2007/11/11(日) 23:21:38 ID:lnbUaAoAO
「ゴフン」わざとらしい咳払いをしてアッシーの方を見てみる。彼はダッチワイフの構造に夢中だった。「・・・・じゃあ行こうか」やっとアッシーは我に返った。
洞窟は横に狭く縦に長かった。100均で買ったという懐中電灯も大活躍だ。
入り口ですぐに地面が砂から岩に変わった。洞窟探索開始から五分ほどして空気に変化がみられた。冷たく乾いた空気から、冷たく湿った空気に。。
「カビ臭い」アッシーが口を開いた。「本当だね」まったくもって同意見だった。ただ人間の鼻は馬鹿だ。しばらく歩いたらすぐ鼻が麻痺して気にならなくなった。
歩いても先に壁がない。終着が見つからない焦りからか、どのくらい時間が経ったか気になった。十時半少し前。まだ十分も歩いてない。携帯は思ったとおり圏外だった。

524 英一郎 秋のある日8sage New! 2007/11/11(日) 23:24:18 ID:lnbUaAoAO
『まだまだ旅は始まったばかりか・・・。』心の中で呟いた。
しかし、ゴールは意外と目前だった。そこから三分ほどしてソレと出会った。人間の白骨・四足歩行タイプの動物の白骨・鳥の白骨・・・・。他にもいくつか動物の白骨があった。
そんな異常な光景を目のあたりにして僕はプレデターを思い出していた。それらの骨格には共通して在るべきモノが欠けていた。頭蓋だ。
驚きを隠せず「なんだよ、ここ!」思わず声を張り上げてしまった。アッシーも「此処やばい・・・よな」とこっちを見てきた。
すぐにでもその場から走って逃げ出したかった。でも驚きと意味不明な恐怖で足が動かない。お互いにじっと前を見据える。すると暗闇に目が慣れてきたのか、奥に何かあるのに気付く。
ただ引き寄せられるままにその何かに近づいていく。

525 英一郎 秋のある日9sage New! 2007/11/11(日) 23:26:42 ID:lnbUaAoAO
祠だった。いつの時代のものかわからないお札が、扉を閉ざしていた。正確には既にそのお札はキレイサッパリに焼き切られていた。
つまりこの祠の扉を封していた呪物的代物が無効化していたのだ。
頼んでもないのに勝手に扉が開いていく。ご丁寧にも自動で開く扉の所為で祠の中身が明らかになる。中を見てまた驚いた。
手前で横たわってる白骨のモノらしき頭だ。それも原型を留めている。つまり、生前のままだった。変色することなく今でも血が通っているように。
人間の頭部に目が向う。何か違和感がある。でも何がおかしいかわからない。全てが異常だった。
ライトの光が祠の奥を照らす。裏にはまだ奥があるようだった。その先は奈落に続く気がした。

526 本当にあった怖い名無し 秋のある日10sage New! 2007/11/11(日) 23:28:51 ID:lnbUaAoAO
『引き返すなら今だ』そう感じた僕は「アッシー戻ろう」と言い、急いで砂浜に引き返した。入った時とは比べものにならない早さで入り口付近まで来た。
日が射してる。逆光で見にくいが、洞窟の出口に人らしきモノが転がっている。一瞬身を退いた。
しかし、それがすぐに入るとき見かけた人形だという事に気が付く。通り過ぎる際、ワイフを蹴飛ばそうとして驚いた。
頭が無い。入るときには付いていたのに。明らかに時間の進みがおかしいが時計なんて見ている暇は無い。
車に戻り急いで席についた。「えっ?」アッシーの顔色が冷めて固まっている。アッシーの目線の先を見るとダッチワイフの頭がブレーキペダルの横から顔を覗かせている。
少しでも早くその場から離れたい一心で、ワイフの顔を掴みとり窓から投げ出した。盗難に遭わないよう貴重品は予め車に置いていたので、すぐに車は走りだした。
時計を見ると午前七時過ぎだった。

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