洒落怖
冬山登山

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299 5/5 sage New! 2008/12/29(月) 05:44:55 ID:ztGoWcYn0
ところがその淡い期待は簡単に裏切られてしまいました。

「それ」は、はじめて一歩を踏み出したのです。

非常にのろい歩みでしたが、それは私達を絶望させるのに十分でした。
一番体力の残っていそうなAも遂にへたり込んでしまいました。
「それ」は一歩一歩こちらに歩んできます。
もはやそれとの距離は50メートルではありませんでした。
私は絶望に包まれて、こんなところで死ぬのかな。凍死扱いになるのかな。それとも死体も見つからないのかな。などと考えていました。
すると突然、それまでぶつぶつ呟いていたAが立ち上がり
「ちくしょう、やってやる。ぶっ殺してやる。なめやがって。化けもんが。ちくしょう!」などとキレたと思うと、

「喝ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

とお爺さんに言われたように大声で気合を飛ばしました。
ところがその気合に「それ」は全く反応しませんでした。
しかしその気合が利いたのか、大声がきっかけになったのか「それ」の上方にある深雪が雪崩を起こしたのです。
それは数十トンの雪の流れに飲み込まれ「う、うわあぁあああぁぁぁぁぁ」という声を上げ雪崩に飲み込まれて下に流されていってしまいました。

後に残った私達は呆然として口をあけていました。
その後は雪洞を掘り、一晩を明かして翌日に下山できました。

これは未だに私のトラウマです。
未だに何が起きたのかさっぱりわからないので、どなたか「それ」についてご存知の方はいらっしゃらないでしょうか?

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