洒落怖
鳥居と小屋

この怖い話は約 3 分で読めます。

「これはやばいだろ…戻ろうぜ」
あまりに異様な状況に戦慄を覚え、一刻も早く車に戻るため階段を駆け上った。
階段を上る途中、上のほうから妙な音が聞こえてきた。
ゴッ!!ゴッ!!ゴッ!!
何かが何かとぶつかり合う音。
ぎょっとしながらも不気味な音源のほうに向かうと、そこは例の小屋だった。

554 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/09/03(木) 08:12:00 ID:7LdScaHY0
6畳ほどの小屋の中には、上で待っていると言ったはずのSがいた。
あろうことか、Sは直立したまま、自分の頭を小屋の壁にゴッゴッと打ち付けていた。
「S!!何やってんだよ早くこい!!!!!」
Sの手を引っ張って無我夢中で階段をダッシュで上り、速攻で車のエンジンを入れて
速攻でその場所を離れた。

T「おいS、大丈夫か?お前何やってたの?上で待ってるって言ったじゃん」
S「だって多いから。おまえら多いし、痛いから」
T「はあ?意味わかんねえ、意味わかんねえよ。本当に大丈夫か?」

俺は運転手だったからうろ覚えだが、後部座席で2人がこんなやりとりをしていたのは記憶している。
Sの口からは何度も「多い」「痛い」という言葉が出てきた。
Sはバリバリの体育会系で下ネタやくだらないジョークが好きな奴だけど、
この時はなぜか喋る内容ばかりか口調までどこかおかしくて、TはしきりにSの体調を心配してた。

その後、国道沿いのガソスタで燃料を補給してから、コンビニで飲み物とか買おうって話になった。
コンビニの駐車場で車を降りた途端、いきなりSがゲーゲー吐き出した。
なんというか、普通の吐き方じゃなかった。両手の指を口の中に突っ込んで、涙とか鼻水とか涎とか垂れ流しで、
吐しゃ物はボタボタ落ち続けるわで。とりあえずコンビニで天然水を買ってSに飲ませた。
Sは水を飲むとだいぶ落ち着いたようで、先程のことを話し始めた。Sの口調はいつも通りに戻っていた。

555 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/09/03(木) 08:18:44 ID:7LdScaHY0
Sが言うには、
・コンクリ製の鳥居をくぐったTと俺の後ろに、もう一組の2人の男がいた。
・2人組みは地蔵の近くにある小屋に入って、それっきり出てこなかった。
・しばらくしてから、小屋の中から「痛い、痛い」と悲鳴のような声が聞こえてきた。

で、気がつけばSは小屋の中にいたらしい。
Tも俺も、Sがこれだけ冷静にあの時の様子を見ていたことに驚いたが、
写真やムービーに写っていた黒い煙や黒い滝については全く心当たりがないそうだった。
かく言う俺らも、後ろに2人の男がいたことや「痛い、痛い」という悲鳴には全く心当たりがなかった。

結局何も分からないままだったけど、あの場所には二度と行くまいと誓った。
写真に写った黒い滝、黒い煙、Sが見たという2人の男は一体何だったのか。
謎と恐怖だけが残った。

この怖い話にコメントする

鳥居と小屋