洒落怖
ナレーション

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大学生になった俺は部落の「組合」に話しを聞きに行った。「郷土史の中の部落差別」を調べているので、
その話しを聞かせて欲しいと電話すると、快く承諾してくれた。
電話で聞いた住所に行くと、初老の男性の自宅で、その人が話しをしてくれるという。
親切な応対に少し気が引けたが、N失踪とSという男は関わっていないのか、そもそもSとは何者で、今どこにいるのか、単刀直入に問い質した。
応対してくれた初老の組合員は困惑していたが、話してくれた。

130 本当にあった怖い名無し sage 2009/07/05(日) 05:31:48 ID:xeP25AoL0
・Nくんの失踪とSさんは関係ない。Sさんの転居と、Sさんに対する警察の(不当な)家宅捜査が同時期だったのは偶然
・Sさんは行政保護を受けていない(受けられない?)ため、組合が生活の手助けをしていた、高齢知的障害者
・転居先は遠くの施設だが場所は教えられない。
・すでに亡くなっている
というもので、期待したものは何も得られなかった。しかし無礼を詫びた後の、帰り際のことだった。
5年ほど前、組合事務所にN母が怒鳴り込みに来たことがあって、宥めるのに大変だった、という話しを聞かされた。

俺は今でもNの失踪にSという男が関わっていると思っている。今Nがどこにいるか分からない。でも俺の幼馴染のNは、あの東京五輪のドキュメンタリービデオのナレーションとして、未だ捕らえられたままでいるなんて事を、最近よく考えてしまう。

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