洒落怖
タイでの出来事

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7分丈のズボンを履いていたので、
クルブシからスネの辺りに擦れる雑草が不快感を助長する。

それでも突き進んでいくと、ふと開けた場所に辿り着いた。
かつて川でもあったのだろうかというような丸みを帯びた大きな岩が
ゴロゴロと無造作に転がっている奇妙な光景が目に飛び込んでくる。

498 タイでの出来事(多分9分の4) sage 2009/05/05(火) 01:12:46 ID:McgXl8Bm0
その先は再び草木が鬱蒼と茂る薄暗い森になっていて、
勾配もこれまでよりキツクなり、本格的な山道になりそうだ。

古いオンロードの2ストバイクでは進んでいくのが困難に思えた。
バイクを一旦止め、しばらくその先の道を凝視する。

その後、気力を奮い立たせて突き進むことに決め、再びクラッチを握り、
ギアをローに入れた瞬間、何か違和感を感じて体が硬直した。

ふと視線を前に戻す。しかし別段変わった様子もない。
そのまま視線を周囲に巡らし、今来た道にも注意を向けてみる。
だがやはり特に変わったことはなさそうだ。

だが、どうしてもその先に行きたくないのだ。
そこでギアをニュートラルに戻してから、もう一度その場に佇んだ。

『間違いない。やはりこの先にはどうしても行きたくない。』

そして2ストロークバイクに特有の不安定なエンジン音が、
突然止まるのではないかという恐怖に似た感覚に襲われた。

499 タイでの出来事(多分9分の5) sage 2009/05/05(火) 01:13:38 ID:McgXl8Bm0
バイクに乗っているときに『この先には行きたくない』と感じたことが
過去にも一度あった。それは学生時代、千葉県の「とあるダム」に、
深夜2時頃ドライブに出かけたときのことだ。

以前このオカルト板でも書いたことがあるのだが、
その時にもし進んでいたら、首吊り自殺の第一発見者になるところだった事が、
後日わかったというものであった。

今回もその時に感じたのと同様の凄まじい拒否反応が生じて、
昼過ぎの強い日差しが照り付ける猛暑にも関わらず、
背筋に冷たいものを感じたのである。

例えるならば、スレに貼り付けられたURLを何気なくクリックし、
予想外にグロ画像とわかって慌てて閉じようとする時のような、
「稲妻が体を突き抜ける感覚」に近い忌まわしい感覚なのだ。

そのまま行くべきか戻るべきか逡巡していると、
今来た道の方からバイクの音が近づいてくる。

500 タイでの出来事(多分9分の6) sage 2009/05/05(火) 01:14:24 ID:McgXl8Bm0
なんとなくホッとして、バイクの姿が見えるまでその場に留まり、
相手が現れるのを待ってみた。

そのバイクが私のいる開けた場所に入ってくると、
私の方からすかさず声を掛け、挨拶を交わす。

どうやら中年くらいの男性が運転し、
その後ろに妻と思われる女性が乗っているようだ。

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