洒落怖
嫌な家

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938 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/18(木) 00:15:33.90 ID:uaEUglcs0
家の壁紙とか窓のない扉とかは大体布張りで、贅沢な作りだったんだと思うんだが、1階の廊下の壁には何かを拭き取ったような古い茶色いシミがあった。
「…これ、血じゃね?」と思った。
しかしまさか?と思って他にも探してみた。
2階の廊下にも、古い茶色いシミ。
それは拭き取りもしてなくて点々となんだけど形状は、床に落ちた液体が跳ね返って壁についた、というようなもの。
さらに探すと1階の洋室にも、同じ茶色いシミが床から低い位置にあった。
これが一番強烈だった。血のついた手で、指の第一関節だけ扉に触れたような形状で、丁度指五本分。
倒れこんだ体勢で、丁度そこに手をついたような。
周囲には細かく点々と飛沫の跡もあった。
さすがにこれを見つけた時は冷汗が出て、 「これ、血の跡じゃね?!何なんだよこの家!!」と、母に叫んだけど、
「…そうかも知れないわねぇ。でも仕方ないでしょ、引っ越すわけにもいかないし」
と、やたらと達観しているのか諦めているのか、母はやたらと冷静な様子だった。

940 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/18(木) 00:23:37.36 ID:uaEUglcs0
それからしばらくして、父の仕事の都合で別の県に引っ越すことになった。
引越してから新しい家に住み始めてからしばらくして、父が唐突に、
「あの家はやっぱり何かおかしかった。あそこに住んでいる間はろくなことがなかった」
と、ブツブツ言いだした。母はその言葉を聞いて、
「だって、あの家に居る時に『この家おかしい』って言っても貴方聞くどころか、
『気に入らないなら出ていけ』って怒鳴り散らすばかりだったじゃない」
と、淡々と返していた。
あの母の諦めているというか達観しているというか、そんな様子だったのは、その経緯があったからだったんだ、と、その時に知った。
父も引っ越してからは少し穏やかになり、母に言葉を濁しつつも謝っていた。
今思えば、父もあの家に住んでいる間は特に、暴君ぶりに拍車がかかってたかもしれない。
兄と当時のことを話してみたら、思い出したくないとか言いながらも話し始めた。
「あの頃、俺がいつも図書館に行くようになったのは、部屋で勉強してたら、誰かのすすり泣く声が聞こえるようになったんだよ、昼だろうと夜だろうと。
おまえが観てるTVの声だと思ってたけど違うことに気づいて家に居たくなかった」
なんてことを言い出した。

942 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/18(木) 01:18:29.58 ID:uaEUglcs0
俺もそのすすり泣く声は実は聞いていた。だけど俺は、いじめられていることが悔しくて兄がすすり泣いているもんだとばかり思い込んでいた。
兄もプライドがあるだろうからと、何も突っ込まずに居ようと思って黙っていたんだ。

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