この怖い話は約 2 分で読めます。
視線がうつろで,どこを見ているのかわからない.
魔除けのことのうしろめたさもあり,これ以上決まりを破るわけにはいかない,と俺達全員考えていたと思う.
とにかく凄い声で怒鳴り続けるおじさんをなだめた.
時間にして10分くらいだろうか,おじさんは大きくため息をつき,もういい,
と言い,戸を閉めて去って行った.
ほぼそれと同時に爺さんが戻り,水場の魔除けの向きが変わっていた,
と俺達を叱りつけた.
みなが集まったところで,隣人のおじさんの話をすると,
全員顔面蒼白になり,だれともなく,
「キャッシャだ,キャッシャがでた,,,」とつぶやいた.
その晩は明け方まで酒をやめ,総出で厳重な見張りを続け,その後は何事もなく夜明けを迎えた.
俺ははっきり言って生きた心地がしなかった.
326: 本当にあった怖い名無し:2011/06/20(月) 13:54:20.37 ID:AZMA800/0
後日のこと
隣家のおじさんはその夜,突如風邪を引いて寝込んでしまい,
奥さんが夜遅くまで看病していたとのこと
問題の時刻に奥さんはまだ看病を続けており,
おじさんは確かに布団に横になっていた.外には一歩も出ていないとのこと.
魔除けには厳密な飾り方があり,その作法も教わったはずなのに
俺はろくに聞いていなかったようだった.
言い伝えでは,火や魔除けに不備があるとキャッシャが家に入りこみ,
死体(というか魂?のようなニュアンスなのか?)を盗みにくる.
死体を盗まれた家はもう栄えることはないらしい.
キャッシャと仲良くなってはいけない,
キャッシャに気に入られると,自分が死んだとき必ず家に来るとか
番に参加した爺さんには,
最後にキャッシャが出たのはもう何十年も前のことだったとか,
その爺さんの父親が若いころ見たらしい.
お前らの世代がそのような体たらくでは村が滅びるぞ,
とこっぴどく叱られた.
俺の身の周りでおきた唯一の恐怖体験です.