洒落怖
シャム双生児

この怖い話は約 3 分で読めます。

そしてしばらくして、容態が安定していた母が、急死してしまいました。
目を見開いたまま、恐ろしくおびえた表情のままの死に顔です。 
ピムは疲れ果てて、涙も出ない状況でした。

ジェイは、ピムの代わりに、母親の葬儀を行いました。
そして、一段落すると、ピムに言いました、「明日、ロスへ戻ろう。」
ピムは、これでプロイの亡霊から逃げ出せる、ありがとうとジェイに感謝しました。

その夜、ピムがシャワーを浴びていると、落雷があり、電気が消えてしまいました。
真っ暗なシャワールームで、ピムは気が狂ったように、ジェイ、ジェイ、何処にいるの、早く来て、と泣き叫びました。
そう、ピムには、はっきり見えていたのです。 横にプロイがいるのが。
そこへ、懐中電灯をもったジェイが現れました。ピムは泣き叫んで、ジェイに飛びつきました。 「怖い、怖い、プロイがいる。」

ピムと、ジェイにはひとつの約束事がありました。
それは、切断手術の跡を見て欲しくないとのことです。
セックスをするときも、寝るときも、ピムは、腹部を常に、
コルセットで隠していましたし、シャワーは必ず一人で浴びていました。

ジェイに飛びついたときに、電気がつきました。
初めて、ジェイはピムの全裸姿を見たのです。 
腹部の切断手術跡も、しっかり目に飛び込んできました。 
しかし、その跡は、彼女の左わき腹についていたのです。
ジェイは、昔、絵を書いていた時を思い出しました。
向かって、ピムが右側、プロイが左側、だからピムの右わき腹が、プロイと繋がっていたはず。切断手術跡も、右わき腹にあるはず・・・・

そこまで考えると、急に、目の前が真っ暗になりました。
ピムが、花瓶でジェイを殴ったのです。 ジェイはそのまま気絶してしまいました。

気がつくと、昔、ピムとプロイが使っていたベッドに縛り付けられています。
足元には、ピムが眼鏡をして立っていました。
(続く)
674 シャム双生児 sage New! 2007/04/17(火) 17:55:14 ID:nv99wDRk0
(続きです)
ジェイは、叫びました。 「お前は、プロイ?」
眼鏡をしたピムは笑っていました。 
「あなたが、今まで、愛してるって抱いたのは、プロイよ。」
「あなたは、ピムが好きだった、いつも、ピムを見ていた、書く絵はピムだけで、私のところは空白だった。」
「ピムはあなたが好きだと私に言って、だから切断して欲しい、自由にジェイと
会わせて欲しいと頼んだのよ。」
「私は、死ぬまで一緒だよって約束したから、ダメと言ったのよ。
だって、私もジェイのことが好きだったから。」
「ピムと離れると、ジェイはピムのものになると思ったから、絶対に、離れるのはいやだと」
「でも、母は、そんなピムの気持ちを察して、私を眠らせて、切断手術を
させたのよ、気がついたら、私は一人だけ、ピムは違うベッドで寝ていたわ。」
「そこで、私はピムを殺したのよ、それで、母に言ったのよ、
『死んだのは、プロイよ、事故で死んだのよ。
私はピムよ、これからピムとして生きていって、ジェイと一緒になるの。』」
「母はそれを受け入れたわ、プロイのお葬式を一緒に出したの。
その後は、あなたもよく知ってるわね。 ずっと一緒だもの。」
(続く)

この怖い話にコメントする

シャム双生児