洒落怖
若先生もどき

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はじめは馬鹿騒ぎしたテントの連中を皆で責めましたが、俺がふと出島を振り返ると、
若先生が浴衣姿で団扇であおぎつつ、つつじ等の出島の木花を丹念に観ていました。
先生はこちらに背を向けていましたが、身長、体格、角刈りの髪型などで若先生と判りました。
俺「ねぇ、先生何してるんだろうね?」
友1「あ、ホントだ。お願いして正座ゆるしてもらおうぜ」
友2~n「センセー! もう許してよ~!」
先生は気づいていないのか、まったくこちらを振り向きません。

友3「なぁ、なんか静かじゃない? 寒いし・・・」
さっきまであれほどうるさかった虫が、鳴いていません。
酒盛りをする先生達のガハハ笑いだけが響いていました。
池には霧が立ちこみ始め、急激に気温が下がっているようでした。

友4「あんなところに木あったっけ?」
出島の東屋の”屋根”に、なぜか木が生えていて、その木だけ風もないのに揺れていました。

894 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/09/27(火) 09:24:03.34 ID:QA6zoQ5b0
友5「なんか聞こえない?」
霧で見晴らしの悪くなった池から、ボートを漕ぐような音が聞こえてきました。
確かに池には貸しボート屋がありますが、こんな時間に営業している訳がありません。
音はこちらに近づいているのではなく、横へと移動しているようでした。
やがて霧の切れ目に現れたのは、貸しボート屋のボートとは違う
渡し船?のような形状の船で、二人の若い男女が乗っていました。
洋服ではなく、着流しのような衣装で。

友6「あそこ林だったよな? 人、住んでたっけ?」
出島の反対側の林の向こうにゆらゆらと灯が揺れていました。
それこそTVで見る人魂の挙動そのものに。
そんな場所に民家はないし(昼間ランニングした)、街灯も電話ボックスもありません。
ゆらゆら揺れる灯が一つ、また一つと増え始めたとき、
俺は決定的なことに気づきました。

俺「ねぇ、なんでいろいろ見えるのかな?」

897 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/09/27(火) 09:45:54.11 ID:mDp7iWd00
光源がないんです。曇り空で月明かりも。
先生達が酒盛りする蚊帳の上にあるライト以外、光を発する物は何一つありません。
そもそもテントからこのベンチにたどり着くのさえ困難だったほどの真っ暗闇です。
ここにきて俺たちはヤバいと気づいたものの、
正座解除を言い渡されていません。勝手にテントに戻ったら地獄の乱取りフルコースです。
友2「若先生にお願いしよう!」
全員「センセー!」「なんかおかしいよ!」「もういいでしょう?」
出島にも灯ないのに、なんで若先生も見えてるんだろう? 
というか、なんで浴衣? ジャージじゃなかったっけ?
俺がそう思ったとき、若先生がこちらを振り返りました。

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