洒落怖
廃屋探検

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2階の間取りは6畳程度の部屋が3つ。1階よりゴミやガラクタは少ないが、いかんせん泥や埃で痛んでいる。
この家に人が生活したことがあるのかは疑問だが、合板のはげた安っぽいタンスと、カーペットが敷かれた部屋があった。
他の部屋は家具もなくて見るべきところがなく、自然とそこを物色しはじめた。
床を照らすと、木で編みこんだバスケット?みたいな箱が転がっていた。
ピクニックにサンドイッチとかいれるああいうものを想像してもらうと分かると思う。
太めの木で真四角に作られた、大き目のやつ。
ガラクタとは違う、とってつけたように転がったそれが妙に不気味に感じた。
友達はその部屋に入ると急にテンションをあげて「なんかねーかな」とつぶやきはじめた。
タンスの一番上の引き出しをつかんで、覗き込んでは閉める。
俺も隣で懐中電灯照らして見てたけど、何もない。一番下の段にガラス瓶かなんかが1個あるだけ。興ざめである。
続いて俺が床にあるバスケットをに手を伸ばそうとした瞬間、友達が「チョオ」とか叫んで急に蹴りをかました。
こともあろうにバスケットを蹴り飛ばし、なぜかドヤ顔。俺ポカーン。
窓があった空間へバスケットがキリキリと回転しながら外へ消えていくのは何ともシュールだった。
あぶねーよ、って言うと「すまん、つい」とか言う。何がついだ。

298 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/04(木) 18:18:17.55 ID:3DZWAX040
撤収ムードになって車に戻る時、ふっと廃屋を振り返ってさっきの部屋を見てみた。
奴が蹴り飛ばしたバスケットが飛んでったのはどの方向だろう、と思ったが、車とは全然違う方向。
結構軽そうに飛んでったし、音もしなかったし、どうせ空っぽなんだろうと思った。
この廃屋は泊り込むほどの価値もないと友達が判断し、日帰りで終了。

前にも書いたが、この友達は当時霊感があることを俺に黙っていた。
芋焼酎にしようか、麦焼酎にしようか、どうでもいいことを真剣に悩んでる友達が、ふと俺を見て
「そういや木で編んだ箱蹴り飛ばした廃屋あったよね。あそこビビったわー」と言い出した。
霊感カミングアウトした後、居酒屋の席での話である。
「部屋に入った瞬間、あの中から目がこっち覗いてんだよね。片目だけ。タンスの方調べて、最後に開けようと思ったんだ。
んで、いざと振り返ったらその隙間から指がずぶずぶ出たり入ったりしてんの。目も相変わらずこっち見てる。
いかにも出してくれーって感じだから、お前が開けようとするの見て、やべっと思って蹴った。とんでけーって」
奴はこれ見て思い出したわ、って言って枝豆の入ってる木で編みこんだ皿を指さした。
食べこぼした枝豆ちゃんをテーブルの上に見つけて、デコピンしながらとんでけーとか言ってる友達がなんだかたくましく見えた。

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