洒落怖
金縛りの原因

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267 235 sage 2011/05/27(金) 04:32:11.23 ID:sKFTW5xx0
俺は不動産屋に電話をしてみた。
案の定というか、やはり前の住人は女性だったらしく不動産屋が連絡をとって聞いてくれるということになった。
俺は何となく「あれ」の原因はこの箱のような気がしたので、飯を食べに出るついでに不動産屋に箱を渡しにいくことにした。
Aと2人で出かけて不動産屋に箱を渡して、飯を食って家に戻った。
そしてAは今朝の2日酔いの事など忘れているようでまたすっかりできあがっていた。
その晩もAは家に泊まっていった。
俺はまた「あれ」が出るんじゃないかという恐怖もあったが、心のどこかに「もう大丈夫」という安心感もあった。
そしてとうとう「あれ」は出なかった。
2週間ほど何事もなく過ごしていると、不動産屋から電話が入った。
何でも、やっぱりあの箱は前の住人の物だったらしく、どうしてもお礼が言いたいので俺の連絡先を教えても良いか?との事だった。
俺もどんな人か気になったので前住人からの連絡を待つ事にした。
翌日、前住人から連絡があった。よほど大切な物だったらしく丁重なお礼の言葉をいただき、俺もまんざらでもなかった。

今は長野に住んでるようで、来週こちらにくる予定があるらしく直接お礼に伺ってもよいかということだった。
一度はお断りしたものの、やはり俺も興味があったので俺の部屋に来る事になった。
俺はまたAを誘った。
やはりAもこの話に興味をもったらしくバイトをサボってまで家に来てくれる事になった。

277 235 sage 2011/05/27(金) 04:40:41.60 ID:P8sJCdib0
当日、家のインターホンをならしたのは、調度俺の両親くらいのご夫婦と大学生くらいの(可愛い)娘さんだった。
とりあえず、上がってもらってひとしきりお礼やお土産をいただいた後、Aが家にやってきた。
両手いっぱいに酒と食材を持って…
「あ、こいつがAです。たまたま家に泊まりに来ててあの箱を見つけまして…」
と、Aを紹介した。
何となく、Aが来たおかげか少し緊張感は無くなったようだった。
割と社交的なAは買って来たビールをみんなに勧めて、もちろん自分でも飲んでいた。
しばらく飲んでいるとAは
「じゃぁ、僕ちょっと料理でも作ってきますよ、レストランでバイトしてるんで得意なんですよ」とやけに張り切ってキッチンへ出て行った。
すると娘さんも「私も手伝います」と言ってついて行った。
ちょっと羨ましかった
ご夫婦と俺の3人ではなかなか会話も無かったが、不思議と気まずい雰囲気もなく、ゆっくりビールを飲んでいた。
少し酔いも回って来た所で俺は「よほどあの箱を大事にされてたんですね」と聞いてみた。
282 235 sage 2011/05/27(金) 04:46:23.33 ID:P8sJCdib0
「あれは娘の…」
俺はキッチンの方に目をやった。Aと娘さんが騒がしく料理を作っている。
「いや、あれの姉がおりましてね。」
「実は…半年ほど前に体調を崩して長野に戻って入院していたんですが2ヶ月ほど前に亡くなりまして…」
「あ、すいません、余計な事をお聞きしてしまって…」俺は何と言って良いか解らなかった。
「いえいえ。あの子が入院中もあの箱の事を気にしておりましてね…突然倒れて、バタバタと入院引っ越しとなりましたもので、、
私たちもずっと探しておりまして、こちらのお部屋も一度解約したあと空き家だったところを大家さんに頼み込んで
探させていただいた事もあったんですが…」
「私たちには見つける事ができませんでした…本当に感謝しております」
お父さんの瞳には涙が溜まってるのがしっかりわかった。俺も酒のせいもあって涙腺がゆるみかけていた。

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