洒落怖
地下道

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そう思った俺だが、近付いてくるやつを見て全力で逃げ出した。
ある事に気付いたからだ。

まず、今まで気付かなかったがやつは右手に携帯を、左手に
血糊ベッタリの大きなコンクリート片を握り締めている。
そしてそれ以上に異様なのがそいつの喋り方だ。

まるで音声の逆回転のように変な抑揚の声でブツブツと何かを
喋りながら、足元はゆっくり歩いているはずなのに凄い速度で
こちらに向かってくる。
明らかに脚の動きと実際の速度が合っていない。

俺は一瞬で血の気が引いた。

 なんだあれは…
 おかしいだろ、ありえないだろ、ありえない…ありえない…ありえない…

俺はパニックになりながら全力で地下道の出口へと駆け出した。
階段を駆け上がり、もう少しで出口というとき、俺はふと後ろを振り向いた。

すると、目の前にやつの顔があった。
さっきも書いたように、顔も服装もどこにでもいそうな普通の女子高生だ、
だが、やつの顔は明らかに狂気と言える表情だった、言葉ではまるで
説明できないが…

719 地下道 4/4 sage 2011/05/23(月) 21:13:56.51 ID:vMETJjxH0
俺が一瞬ひるむと、やつは俺に向かって血まみれのコンクリート片を
振り下ろしてきた。

 「うわあああああああああああああああああ」

俺は叫び声を上げながら地下道の外へと倒れこんだ。

地面に倒れこみ腕と背中に強い衝撃を受けた俺は暫らく起き上がれなかった。
が、次に来るはずの致命傷になるであろうコンクリート片の一撃がこない。

 えっ?あれ?どうなんてんだ…

ふと俺が目を開けて見上げると、そこには何もいなかった。
数人の人が「大丈夫ですか?」と手を差し伸べてくる。

俺は呆然として辺りを見回したが、やつはいない。
起き上がらせてもらい、まだ混乱している俺はふと地下道の方を見下ろした。

階段の一番下でやつがこちらを見上げている…
俺は「あの…そこの…」と声にならない声でやつのいるほうを周囲の人に
指差したが、どうやら誰もやつがみえていないらしく、「大丈夫ですか?救急車
呼びますか?」と心配された。

俺は混乱し更に周囲の空気が痛々しく感じ、「大丈夫です、大丈夫ですから!」
と言いながらその場を逃げ出した。

翌日、俺は会社を休んで朝一で携帯を買い替えメルアドも変更した。
そして、あの日から今まで二度とあの地下道は通っていない。

以上です

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